建築空間の歴史

日 時 平成24年6月9日(土)
場 所 関西学院大学
講 師 田路貴浩氏(京都大学准教授)
 空間は知覚出来るのでしょうか。(見えるか、感じるか。)
 先進の西洋において空間をどのように考えていたのかは、
古代ギリシャにまで遡らなければなりません。
 有名な哲学者・プラトンは、空間を「コーラー」なる言葉で
表現した由で、この「コーラー」とは形を持たないため、感覚
では捉えられないが、あらゆるもの、たとえば火・水・土・空気等を生成するものであるとしました。
 また弟子のアリストテレスは、空間を「トポス」と表現しましたが、これは包み込んでいるものと包み込まれているものが接触している境界であると定義付けました。
 この「トポス」の考え方は西洋ではかなり長く続いたようです。
 具体的には、ローマのパンティオンやイスタンブールのモスク(右上の写真)でご説明されました。
 中世に入りますと、前述の「コーラー」は「神」に置き換えられ、あのニュートンにしてリンゴが何もしなくても落ちるのは神の力(それが引力)であると考えたふしもあるそうです。
 その後空間は「中心(人)から生まれる場」であるとされ、「空間感情」と呼ぶようになります。
 人は身体感覚を投影することで空間を知覚するので、たとえば野球観戦でもテレビではわからない感覚が、甲子園で観戦すると独特の雰囲気を感じること、それが「空間感情」である由です。