肉は低温で

 そもそも、なぜ肉はパサついて固くなってしまうのか……中華料理店の店主にしつこく問いただし入手した情報によると、タンパク質は高温で調理すると収縮して固くなり、肉汁が流出してしまうとのこと。

調べによると、タンパク質は63℃から凝固を始め、68℃から水分を分離し始めるそうなので、肉汁を流出させないためには、理論上は63℃以上68℃未満で加熱すれば良いということになる。

しかし、僅か5℃の差しかないタイトな温度帯をキープするのは一般的な調理器具では不可能……!

 早くも八方塞がり…と思い調べたところ「実験の結果、実際には鶏肉の場合85度の加熱でも味的にはあまり変わらなかった*2」という情報を入手したので、だいたい85℃未満を目指せばよいということになる。

お湯を沸かして、沸騰する前に火を止めて一時間放置するだけ!

 温度管理がしやすいのは湯煎だけれど、茹でると肉汁がお湯の中に流出してしまうので、ジップロックの中に鶏肉を入れてお湯にエッセンスが漏れ出さないよう工夫してチャレンジ! 

ジップロックの耐熱温度は100℃から120℃程度だそうなので、ビニールが溶ける心配はなさそう……。

手順は、だいたい85℃くらいのお湯に鶏肉を入れて、火を止め蓋をして1時間放置するだけ。たっぷりのお湯を沸かせば、一時間くらいなら暖かいままなので余熱で十分火が通るはず……。
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また、食中毒を防ぐ目安は75℃以上で1分間以上加熱らしいので、この温度であれば衛生面も多分大丈夫……。

材料

鳥モモ肉…1枚
塩…小さじ1
ジップロック
たれ(これらを全て混ぜ合わせ、ラップせずに電子レンジで1分間チンする)
醤油…大1
酒…大1
生姜…1カケ
茹で上げ後ジップロックに残った汁

1:塩を振りジップロックに入れる

 アンチエイジングや鶏肉に全く興味がない男性のために、調理過程をセクシーフィギュア(私の密かな暗黒趣味)と一緒に撮影。男心がわからないなりに、二次元派の人にも三次元派の人にも平等に楽しんでほしいと熟考した結果なのだけれど……。

肉に塩をまぶした状態。

塩をしたら、ジップロックに入れて空気をできるだけ抜く。ストローを使って抜くと便利だが、我が家にストローはなかったので、マウス・トゥ・マウスで空気を吸い取った。しかし、バキューム力が強すぎたのか、ウッカリ吸い込みすぎてしまい口の中に生肉特有の獣臭が……。深夜にブログ用の写真を激写しながら、肉の生き血をすする女……アンチエイジングへの欲望が空回りして、かえって乙女から遠ざかりはじめている……。

2:ゆでる

続いて、お湯を沸かし、大体「一口飲んでみて熱くない」程度まで加熱。見た目の目安としては、なべ底に泡がつく程度。沸騰させないよう監視するのが面倒だけれど、揺れる水面の1/fゆらぎ効果と、蒸発している水分のマイナスイオン効果で、ダブルの癒し効果が期待できると信じ込むことによって、充実の待ち時間を過ごすことができる。

火を止めて、ビニールに包んだ鶏肉を入れて蓋をする。ちなみに、衝撃おっぱいの筋肉姉さんはカトレアさん。横にいる少年は息子のラナくん。

3:一時間後、ジップロックから肉を出して切って出来上がり!

一時間経ったら鍋から取り出し、包丁で切ってタレをかけたら出来上がり! 今回は一緒に食べるパクチーを添えてみました。

撮影前に、我慢できずに一口食べてしまったのだけれど、これがもう本当に……おいしい………!

 ビニール袋に守られてゆっくりと加熱された鶏肉は、ひたすらジューシーでふっくら、しっとり……食べた瞬間、今まで茹で鳥をお湯に直接突っ込んでいた自分の乱暴者ぶりを恥じました……。

鶏肉は、私の蛮行にコラーゲンを流しながらすすり泣いていたことでしょう……。自分自身の無知という罪を実感した瞬間だった。

ブログの利用規約ギリギリに挑んだ限界セクシーと鶏肉。

(撮影に利用したパクチーは安全ちゃんがおいしくいただきました)