健康的な漬物のつくり方

写真は冷蔵庫の残り物野菜のお漬物です。
器が大きいので冷蔵庫に入らず常温で置いておきましたらどんどん発酵が進んで私好みの酸っぱいお漬物になっています。
あまりの白菜、なす、パプリカなど細かく切って漬物汁にほり込んでいます。乳酸菌が生きているのがよくわかるほどブクブク泡を出しています。

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漬物 作り方

漬物に使う材料は、基本的には「野菜」が主なのでビタミンやカルシウムなどをたくさん

含んだ野菜を摂ることはそれだけで健康的な食品となります。しかし野菜を漬物として

使うと、長期保存による味の風味を増すためにどうしても《塩》が必要不可欠となります。

塩は血圧を上昇させる働きがあるため現代の厄介病、生活習慣病の高血圧を助長する

とされ、悪者扱いされています。従って元々栄養素の多い野菜を使った漬物を摂ることは

それだけで十分な健康食なので、いかに《減塩》で漬けるか!!が健康的な漬物を作るキー

ポイントになるのです。漬物を減塩で作る製法として(浅漬け)があります。浅漬は当サイト

の「減塩漬物」コンテンツをご覧下さい。ではその厄介者の塩は私達の体でどのような

働きをし、なぜ悪者なのでしょうか?また塩を料理で使う食塩とは私達の体にどのような

必要性があるのでしょうか?実は食塩は体内にはそれ程一日当りたくさん必要とされない

「保全素」と呼ばれている栄養素なのですが、それでも体を維持するためには欠かせない

働きをしています。食塩は塩素とナトリウムの化合物で、それぞれ体内の代謝をスムーズ

にする機能があります。私達の体は70%以上の水で形成されていることはよく知られて

いますが、この体液はタンパク質や細胞を構成する主成分で、細胞を覆っている液体の

主成分が食塩なのです。人体細胞中には生命を維持していくために必要な栄養成分や

代謝からでる不必要な老廃物などがあり毛細血管を通して受け渡しをしています。この

栄養素や老廃物の受渡しの量を調整して正常に保たせる働きをさせるものが食塩です

また食塩はタンパク質や糖質の消化吸収にも欠かせませんし、塩=ナトリウムは腎臓の

機能を補っています。腎臓では体内の水分を補うために尿細管で再吸収されますが、

この再吸収を助けているのがナトリウムです。再吸収や再分泌を受けるのは「食塩や

水」で最終的に腎臓から排泄されます。その量は血圧の強弱によって決まります。実は、

高血圧の原因の要素の一つがこの腎臓機能の使い過ぎによるもので、体内に食塩を

摂り過ぎると食塩や水の排泄量より摂取量が上回り体内に留まって細胞を覆っている

液体の量が増えて、その結果血圧も上昇するのです。液体が増えると腎臓から食塩や

水の排泄量が増して正常量になり、同時に血圧も下がります。従って、塩をたくさん摂取

すると、腎臓から排泄される食塩や水を常に多く流し続けなければならず、その結果血圧

も上昇した状況が続きます。これが高血圧の原因の要因であり、「塩」が悪者にされる訳

なのです。しかし上記の説明は全ての人に当てはまる訳ではありません。その人の体質

や労働環境・食生活・性別・年齢・他の病気との関係などにより血圧強弱の割合が全く

違いますが、少なくとも塩を過剰摂取することで血圧が上昇することに間違いありません

しかし、ある程度の食塩は私達の生命維持のため、健康維持のためには欠かすことの

できない大切な栄養素です。では減塩で健康的な漬物はどうのように作ればよいので

しょうか?首記で紹介したよう漬物の「美味さ」とはやはり風味豊かで歯切れや弾力

感があり口当たりや喉ごしも良く、しかも長期保存できることが魅力的ですが、これを

実現するためにはどうしても「塩」が必要不可欠です。うま味や酸味から見るとそのキー

ポイントとなるものが《乳酸菌》です。この乳酸菌の繁殖量(存在量)によって味や風味が

変ってきます。乳酸菌の量を増やすには塩が多く必要で、と言っても多過ぎても死滅

してしまい少な過ぎると乳酸菌自体が生じなくなります。減塩で美味しく漬けるには、

また長期保存するためには、この辺の調整がとても重要です。乳酸菌は「菌」なので

その他の雑菌「有害微生物」などが生じると量の確保が難しくなります。そこで漬物に

する材料はできるだけ新鮮で十分に水洗いする必要があります。よく漬物にする材料は

「洗わずに漬けた方が美味しくなる」と聞きますが確かに材料を洗うと元々あった乳酸菌

や酵母菌を流してしまい、また材料に水分を与えてしまうので良くないと言われている

ようですが、しかし他の菌の影響でせっかく生み出される新鮮な乳酸菌を死滅して

しまったら美味しい風味を作ることができませんし材料に腐敗菌や農薬が着いていたら

全体が汚染され大変なことになります。ですから材料は綺麗に流水で洗うことをおススメ

します。それと菌は材料ばかりではなく漬ける容器や一緒に混ぜる他の材料にも付着

している恐れがありますので、できるだけ新しい物を使うと良いでしょう。使う道具は

全て一度熱湯に通すと菌は死滅し消毒効果も期待できます。材料はできるだけ乾燥し

水分をよく取り除きます。塩は脱水効果に一役かってますので元々水分が少ないと

それだけ塩の量も減らせます。漬ける時は材料にできるだけ万遍なく少塩を振ります。

そして容器の上部ほど塩を多くし、徐々に下に沈んで満遍なく材料に馴染ませます。

実際漬けている時(保存中)は容器を動かして上部の塩が下に落ちないように注意

しなければなりません。上部の塩が薄くなると空気に触れて脱水作用が遅れてしまい

味が変わってしまいます。重石も大切なのですが、重すぎても軽すぎても駄目です。

重石は脱水作用を効果的にする働きがあります。材料の1.5倍位の重さがベストです。

また、漬けている時は材料が変化しますので定期的に重石も確認する必要があります。

実際に漬けている間は低温保存する必要があります。漬物の独特な風味や酸味は、

漬物中の微生物特に乳酸菌の繁殖量によって決まります。乳酸菌の他にも有用微生物

などを増やすことによりさらに風味を増すことができます。低温保存すると微生物の繁殖

が遅くなり漬け上がるのに時間を要しますが、有害微生物の繁殖も抑えることができます

また30度以上で保存すると発酵が早まり味が薄くなる上に減塩だと特に味が落ちます。

栄養素の面でも漬物に含まれる特にビタミンCの残留量を冷やした方が多く残せます。

昔の人、特に米どころの東北地方では漬物を漬けるシーズンとして秋頃から冬にかけて

行うのが一般的で、現在の冷蔵庫の変わりに低温を自然の力で補っていたようです。

漬け方以外にも食べる際の工夫で減塩なのに美味しくすることもできます。例えば漬物

を流水で洗って塩抜きをします。但し水に着け過ぎると味や香りも落ちてしまい水っぽく

なってしまいますので、適切な洗う時間や量を把握することが大切です。また、漬かった

ものを再度ぬかや粕に漬けるとさらに複雑な味になり漬物独特な風味を増加できますし

ぬかや粕に食塩が浸透して塩分が抜けます。減塩で薄味になった漬物と一緒に他の

食材を摂るのも一つの手です。特に薄味が物足らない人にはおススメで、塩分の無い

他の食材でスッパさを増すことで薄味が気にならなくなります。逆にコクが出て美味しく

感じることができる場合もあるようです。また料理自体に塩分を必要とする場合に漬物

を薄く小さく切って塩代わりに使うのも良いでしょう。特に野菜をふんだんに使うサラダ

にはドレッシングやマヨネーズなどのソースをかけるよりもこちらの方が栄養面からも

健康的でおススメです。是非減塩漬物にお役立て下さい。