本棚の片隅から 2 〜 偽善エコロジー (武田邦彦 著)

環境問題の常識を覆す斬新な発言で注目を集める論客。2008年の著書だが、私たちが日々心がけるマイバッグ運動、ゴミの分別、家電リサイクルなど身近な事例を一つ一つ検証、断罪する。
 レジ袋を断っても意味がない?食品トレーは燃やすべき?紙のリサイクルは無駄?
科学の知識がないので、学問的な正当性を判断できないのがもどかしい。データや結論はその切り口によって意見も分かれようが、納得できる部分も少なくない。
 エコブームやお上からの情報に安易に乗せられることに反省を促される。特に、環境政策や、私達が強いられる費用負担や努力の陰に、リサイクルを標榜する自治体、独法、業者などの複雑な利害関係が存在するという問題提起も、声高に語られない社会の構造に気づかせてくれる。
 著者の結論はリサイクル方法ではなく、生活の質を見直すべきというところにある。「『もったいない』は目的ではなく、結果」であるという著者の言葉の意味をかみしめたい。