絵を観る・絵を識る

日 時 平成24年10月28日(日)
場 所 伊丹中央公民館
講 師 川田都樹子(甲南大学教授)
 印象派の巨匠・セザンヌの絵を中心に、その構図等を読み解く
視点について解説をしていただきました。
 セザンヌは一般的に(後期)印象派と言われていますが、実は
これにあきたらなかったのか1880年に離脱しています。
 当時の絵画の主流は見えるとおり写実的に描くことを基本とし
ていましたが、これにどうも違和感を持っていたようです。
 セザンヌは見えている素材を一旦バラして、自分の思うように各々のパーツをデフォルメしています。
 右上の写真の左はセザンヌの作品で、右はそれを見えてるとおり補正したものです。
 たとえばセザンヌの絵では、コーヒーポットは視点が真横なのに対し、隣のコーヒーカップは上からの視点で描いていますし、人物についても部分部分の視点が微妙に異なります。
 忠実なのは右ですが、これでは原作のゆったり感が消え、バランスも今一つで緊張感がありません。
 セザンヌは一点透視図法ではなく、多視点で好きなように描き、今までの描き方を逸脱いたしました。
 また彼は若い画家達に「自然を円筒形・球形・円錐形で扱い、水平の線はひろがりを、垂直の線は深さを表す。」とも教示しています。
 いづれにしろセザンヌの手法は、後の近代抽象絵画に少なからず影響を与えたようです。