第29回 千里コラボ大学校を11月10日(土)に開催致しました。
オープニングは恒例の加福共之さんの解説に、川上時子さん
のピアノ演奏。曲目はドビュッシー作曲 「版画」より「雨の庭」。
雨の色々な情景をピアノの音色で心地よく弾き分けて頂きました。
とかく暗くなりがちな雨のイメージ。心の持ち方一つで明るく
変えることが出来る演奏を、楽しく聴かせて頂きました。
講演は「いけばなが教えてくれたもの」と題して、村司辰朗さん
にお話して頂きました。
![](/img/u651/FI45030_0E.jpg)
ご自宅は登録有形文化財に指定されて、その管理が大変ですが、
木と土と紙で出来た家屋は心が和むもの。いけばなは現在では
女性の世界となっているが、鋏で木を切るなど握力が必要であり、
また、その起源は仏教であること等、江戸末期頃までは男性が
やっていたものと、話を切り出されました。
『嵯峨御流』は、第52代嵯峨天皇が大覚寺の傍らの大沢池の
花で生け花をされたのがその発祥とされること、一旦衰退したが
第59代宇多天皇が未生斎広甫に再興を託して、その普及に努めた
結果、全国に広まったこと等、その歴史にも触れられました。
![](/img/u651/FI45030_1E.jpg)
村司さんが最近活けられた三十数ケ点の作品を映像で紹介して
頂きました。「おもと」は、後ろの葉が実を守ること、新しい葉を
守る為の風隠しの葉や、水分を供給するための水受けの葉の説明
もして頂きました。「椿」は花の上に葉が出てきて花を霜から守る
とのお話。草木にも子種保存や自己防衛本能があることを教えて
頂きました。
未生流は直角二等辺三角形の形をつくって活けるという技法が
ある。そして、世界を形成する万物である「天地人」の和合の姿が
特徴であると話されました。この広大な空間に「器と草木」でどう
表現するか、花が収まれば出来上がりとのお話でした。
![](/img/u651/FI45030_2E.jpg)
村司さんはいけばなを教えることは「華道の心」を教えること、
と仰いました。私達が日頃忘れてかけている「心のあり方」を、
いけばなの指導と一体化して若い方々に伝承されているとのお話
は、大変興味深くそして感銘を受けながら、聞き入っていました。
最後は恒例により、千里図書館の久山理恵さんによる関連図書の
紹介をして頂きました。
(原田)
![](/img/u651/FI45030_3E.jpg)