第29回 千里コラボ大学校を11月10日(土)に開催致しました。

第29回 千里コラボ大学校を11月10日(土)に開催致しました。

オープニングは恒例の加福共之さんの解説に、川上時子さん
のピアノ演奏。曲目はドビュッシー作曲 「版画」より「雨の庭」。
 雨の色々な情景をピアノの音色で心地よく弾き分けて頂きました。
とかく暗くなりがちな雨のイメージ。心の持ち方一つで明るく
変えることが出来る演奏を、楽しく聴かせて頂きました。

講演は「いけばなが教えてくれたもの」と題して、村司辰朗さん
にお話して頂きました。

ご自宅は登録有形文化財に指定されて、その管理が大変ですが、
木と土と紙で出来た家屋は心が和むもの。いけばなは現在では
女性の世界となっているが、鋏で木を切るなど握力が必要であり、
また、その起源は仏教であること等、江戸末期頃までは男性が
やっていたものと、話を切り出されました。

『嵯峨御流』は、第52代嵯峨天皇が大覚寺の傍らの大沢池の
花で生け花をされたのがその発祥とされること、一旦衰退したが
第59代宇多天皇が未生斎広甫に再興を託して、その普及に努めた
結果、全国に広まったこと等、その歴史にも触れられました。

村司さんが最近活けられた三十数ケ点の作品を映像で紹介して
頂きました。「おもと」は、後ろの葉が実を守ること、新しい葉を
守る為の風隠しの葉や、水分を供給するための水受けの葉の説明
もして頂きました。「椿」は花の上に葉が出てきて花を霜から守る
とのお話。草木にも子種保存や自己防衛本能があることを教えて
頂きました。
未生流は直角二等辺三角形の形をつくって活けるという技法が
ある。そして、世界を形成する万物である「天地人」の和合の姿が
特徴であると話されました。この広大な空間に「器と草木」でどう
表現するか、花が収まれば出来上がりとのお話でした。

村司さんはいけばなを教えることは「華道の心」を教えること、
と仰いました。私達が日頃忘れてかけている「心のあり方」を、
いけばなの指導と一体化して若い方々に伝承されているとのお話
は、大変興味深くそして感銘を受けながら、聞き入っていました。

最後は恒例により、千里図書館の久山理恵さんによる関連図書の
紹介をして頂きました。
 (原田)