福島見聞記〜借り上げ仮設の住民の方との交流ほか

第13回東日本大震災復興支援パラソル喫茶応援バスツァー
(2012年12月8日〜9日)

福島市NPO法人まごころ福島サービスセンター「うららか広場」での交流会

原子力発電の被害から避難している(原発避難者の)方々や周りの方々からの見聞

・原発被災者は、津波被災者と違って家はそのまま住めるのに狭い仮設住宅に避難をさせられている。
・東京電力、国、電力を使っている都民や管内住民、思いをぶつける相手がみつからない。
・地震・津波は自然災害だから諦めて生活している。しかし家があるので戻りたいのに戻れない。
・町の放射線量は除染していて戻れる状態になりつつあるが、山は全てが除染できるわけではないので戻れない。
・町には戻れる地域とまだ戻れない地域の線引きがある。
・線で引かれると賠償金が出る家と出ない家が出る→うらやましい、ねたみ感情が複雑に出て今までの付き合いがなくなる。
・浪江町、5年は帰らないと町長が決断したが、5年たったら帰られるのか判らない。
・生活が不安定で不安感が強い。
・東電から避難者へは毎月一律に賠償金が出ているが、働きだすと(賠償金より給料が少なくても)それは出ない…美容師さんが「私はハサミ一丁で働けるが、賠償金に見合うだけの働きはこの状態では無理なので、働けるが働かない決心をした」…。飼い殺し気分だ。
・期限なしの不安定な状態なので、本気に仕事を探せないし、迷っている。
・帰らない決断の時期なのかわからない、複雑な心地で暮らしている。

借り上げ住宅自治会組織会長見聞

・自治会として認められていない、認められる条件は、地区住民の8割の組織であること
・広範囲に散らばっている借り上げ住宅160世帯のほぼ50世帯のネットワーク(富岡地区)
・同じ地区の借り上げ住宅の組織が3つ出来て連合会もある
・行政からの情報は皆無に近い、情報としてはテレビ・ラジオ・新聞から得る。
・賠償が決まってから次のステップに進める、早くて10年とみているが、ひょっとしたら20年かかるかもしれない(富岡地区)
・自治会会長として家庭訪問したら、一世帯半日かかる
・お金を使わないで、楽しみを皆が共有できるイベントを考えるがなかなか考えつかない。日帰り温泉は多くの方が参加してくれた。
・5〜6年で帰ることが出来ればラッキー(飯館地区)
・飯館地区は、最初は他の地区の被災者を受け入れている地区だったが、後に放射線量が多い地区だとわかって3月14日避難した。
・何故避難しなければならないのかの説明会があったが、それを聞く間も惜しくて早く避難したので、借り上げ住宅。その後ろめたさが残っていて引け目に感じている。
・辛いのは目標・希望・夢が見えないこと。
・家を建てて4年、10年だったという方々もいる。
・被災住宅には町会議員も訪ねてこない
・親(高齢者)は家に帰りたい、幼子のいる家庭は帰りたくない。親の中には賠償金などいらないから家に帰りたいという人もいる。
・家に帰るたびに、放射線量を測る。家のなか=0,98、玄関前=2,3、雨どい=60。川の周りは除染してくれるが、山はやらない。山から流れてくるのにどういうことなんだろう!
・計画的避難指示がでているので、行政からは郵便で情報がくる(飯館)

健康・医療サービス、子どもたちの教育について
・その他の連絡は町からある(浪江)、把握している子ども10人は避難先の地元の学校に通学している
・富岡地区は、40%が老々介護、なかには車いすの方もいる、介護保険の勉強会に行った。小中4つの学校が一か所に間借りしていて18人の生徒が居る。先生もいるが今年の小学校入学者はゼロだった。
・認知症が入り怒りっぽくなり、要支援になったがサービスが判らない。流動的に、このまごころ福島センターでのサービスを受けている。
・幼稚園から中学まで仮設の学校があるが、帰宅出来ても教育問題は難しい!

被災者から、被災以外の方々への要望がありますか?

・過敏になりすぎているのではないか? 東京の男性と婚約していた女性の方が、福島県民だからと親から反対されて婚約破棄された。関東圏のための原子力発電なのに、福島県民はなにひとつ悪くない。
・福島県の風評被害は強く、避難者より長く続くのではないかと心配している。福島産のものは全て検査をして安全だと証明されているので、どこのなによりも安全だと感じているが、東京のマーケットでも買いたたかれて(中間マージンはしっかり搾取されて安く買われて)マーケットの片隅で安くても残っている状態に憤っている。
・ストレス解消に旅行に行ったら、福島ナンバーの車にいたずらされ、福島県民だというといやな顔をされた事実がある。同じ国民としてなんでこんな仕打ちをされるのだろう!
・自分の時代は仕方ないと我慢するが、子どもたちの将来のことをどうぞよろしくお願いします!(懇願)
・被災者たちはストレスが溜まりにたまっている。引きこもりを外に連れ出したい。負けてはいけない。負けないぞと自身に言い聞かせている。
・放射能関連以外でも大変。「福島の女性と結婚してはいけない」有名な団体の会長の発言があった。訴えると言うとそれにたいして「東北の〜」と言葉を濁し言い訳をしている。

・罪作りな東京電力
・浜通りの人たちはぶつけるところがない。雪を知らない人たちが寒さに震えている。
・福島県民の穏やかさがおかしくなっている。
・線引きされているので(賠償金問題ほか)、住民同士のコミュニケーションがばらばらになった。
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原子力発電所を全破棄することで雇用問題はないのか?、
40年間かかる廃炉作業にも雇用はある。

そのほか、東電の原子力発電所に関することもでましたが、どちらも専門知識を持たないので、以上の見聞だけにおさめます。
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 認知症予防ネット運営委員 福井恵子2012.12.10