第31回 千里コラボ大学校を1月12日(土)に開催致しました。

第31回千里コラボ大学校を1月12日(土)に開催致しました。

オープニングは恒例の加福共之さんの解説に、松林靖
子さんのフルート、川上時子さんのピアノ演奏で、エリッ
ク・サティ作曲の「ジュ・トゥ・ヴ」を演奏して頂きました。
この曲は元々フルートの為に書かれた曲で、新春に相
応しい爽やかな音色を、受講者の方々は楽しみ聴き
惚れていました。

講演は「皇妃エリーザベトとその時代 -ハプスブルク帝国の実験-」と題して、大津留厚さんにお話して頂きました。

・皇妃エリーザベトをテーマにした宝塚歌劇のDVDで、その時代背景やハプスブルク帝国の概要を説明して頂き、日頃馴染みの薄いヨーロッパの歴史を学ぶ糸口を作って頂きました。

・ハプスブルク帝国とは、ハプスブルク家の当主が就任
するオーストリア皇帝とハンガリー国王の統治する領邦
の集合体である。ここに居住する民族は、ハンガリー系
・スロヴェキア系等11種の民族を抱えている。この民族
は其々の王・候により統治されており、この集合体がハ
プスブルク帝国である。

両国の地図を使って、民族分布の状況等を説明して頂きました。

・「民族は平等である」という理念に基づき国家の統治が行われた。
①夫々の民族性と言語を守ること。その言語は教育・行政・公共の場で対等の権利を有し、国家により承認されること。
②複数の民族が居住するところでも、上記と同様の権利が保障されること。これをオートスリアの人権に関する基本法を使って説明して頂きました。

・これを踏まえて、ハプスブルク家当主(オーストリア皇
帝とハンガリー国王)が両国を統治するアウスグライヒ
の統治構造が完成した。両国の統治構造図によりご
説明頂きました。

・この重要な地位にあるハプスブルクの家系を絶やさな
いために、男子長子の相続、女子長子の相続や他の
系統からの相続等、あらゆる場合を考慮しての君主継
承のルールが制定され、家領の一体不可分性の継承
が確立された。

ハプスブルク家略系図でご説明頂きました。

・オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフは1867年、ハンガリー国王フレンツ・ヨージェフとして戴冠された。この時皇妃エリーザベトと共に大司教の手によって聖油をかけられ、国王として聖別され、戴冠ミサ曲が奏でられた。ヨージェフはハンガリー国会議員や主だった人々を前にして、ハンガリー国の国法に従うと誓った。アウスグライヒ体制で君主がいなくても政治行われるが、この戴冠式では君主が見える形が必要であったと、戴冠式の意味を説明頂きました。

・アメリカ大統領の就任式で、聖書に手を触れ宣誓を行
うが、選挙で選ばれた大統領が国家に尽くすことを聖
書に誓う意味が込められていること、併せてハプスブ
ルク帝国の統治体制は、現代のEUに引き継がれてい
る、ともお話頂きました。

・島国であり、単一民族で言語も同一という環境の中で
生きてきた日本人にとっては、今回の講演内容は難解
なものでしたが、短時間にも拘わらず、DVDを含む映像
や配布資料ならびに白板を使って説明して頂き、解り
易くお話頂いたものと思います。

最後は恒例により、千里図書館司書の久山理恵さんによる関連図書の紹介をして頂きました。
多岐に亘る著書を紹介して頂き、好評でした。

 (原田)