サロンとホームのレクレーション

①サロンで
何年か前にお伺いしたことのある地区のふれあいサロンに、社会福祉協議会からのお声がかりで参りました。
以前の雰囲気と違っていて、とても明るくて居心地の良い空間でした。お世話役の方にお聴きしましたら
「以前、隣は何をする人ぞ!とご近所付き合いには関心がなかった住民の方々でしたが、高齢社会になるのにそれではいけないと、色んな呼びかけをして、明るい地域になりました」
とのことでした。

参集する方々はみな、ご挨拶のほかに、「お元気でしたか?」「久しぶりですが、どうかされました?」「〇〇さんにこの頃お会いしないがご存知ですか?」などなどお互いの近況を訊ね、お顔を見かけない方の心配をなさっていました。
保健師さんに血圧や近況を聞かれてノートに記録をされていました。それもお互いに見せ合ったりしておられました。

時間になって自己紹介から始めました。まず、最初は、私が左隣の方のお名前を聞いて、「左の誰それさんの隣に居ります福井恵子です」このようにお隣を紹介してから自分を紹介してくださいね〜と右の方に繋ぎます。みなさん直ぐに理解されて「左の福井恵子さんの隣にいます△△○子です!」と次々に自己紹介をしていきました。

お隣の方が自己紹介をするときに、しっかり姓名を聞いて覚え覚えた姓名を言い、自分の姓名を言う。人前で隣の方の姓名を言い、自分の姓名を名乗る自己紹介は、高齢者にはなかなかないことなので少し緊張する刺激の一瞬です。

次は、両手を広げて前に突き出して、両手の親指から順に折り、広げて10まで皆と声を揃えて大きな声を出して数えます。9、10まで数えたらリーダーはすかさず「良く出来ました〜」と大きな声で拍手をしながら褒めます。この褒めるタイミングが最初は難しいのです。一瞬遅れたら誰も白けて笑ってくれません。今回は男性軍5名も声を出して笑って下さいました。これが脳の目覚め、活性化の始まりです。

このような簡単すぎるような指を数えるゲームで、褒められてくすぐったくて笑う、何だこれ?と苦笑い、クスッとも笑ってくれない方もいますが、苦笑も含めて色んな笑いがあります。楽しい指と腕からの脳活性化リハビリゲームを次々と始めます。

健康な方々のサロンでは、ゲームの効用も話します。
最初の1〜10のゲームの声掛けは「幼いころお母さんに教えて貰った数の数え方、親指を折り、順番に10まで声を出して数えましょう、は〜い」

幼いころ・お母さん・指で数える=記憶のとり戻し
指を折りながら=指の運動
声を出して=発声機能
皆と揃えて声を出す=聴覚機能
腕を前に出して=腕の筋力保持
ルールを聞いて最後までやる=記憶維持

色んなところの脳機能を使っていますよ〜とお話しすると、納得と頷いてくださいます。

同じ1〜10でも次は少し早く数えます。スピードを出して数え終わると、すかさず「綺麗に揃いました〜」拍手をして大声で褒めます。今度はみなさん、恥ずかしげもなく笑って下さいます。最初の笑いで明るくなった心が後押ししてくれて大笑いに繋がっていきます。みんなが笑うと仲良くなれて、次は何だと、気持が一つになっていきます。

な〜んだこんな簡単なゲームで良かったとの安ど感もあります。大きな会場などで「認知症予防ゲームをしませんか?」と呼び込みをすると、必ず一人か二人「ゲームで認知症が判るんだろう?出来なかったら嫌だからやらない」と言われて尻込みをされる方がおられます。内心少しはそのような思いもあるかもしれませんが、簡単なゲームで「大笑いをして心がいやされ脳活性化ゲームで認知症予防」が出来るのが「スリーA方式の認知症予防ゲーム」の良いところなのです。

簡単なゲームでホッとされたところで、少し難しい数え方をします。右手の親指を最初から折っておき、それがスタートになります。右手の人差指と左手の親指を同時に折って「いち」、右手の中指と左手の人差指を同時に折って「にい」、隣と隣の指を折って「さん」と続きます。「4・5・6と9・10」が戸惑って、間違う方は「あれっ?出来ない!」と笑いが出てきます。笑うことが目的なので、「間違えるのもOKですよ〜」と声をかけます。間違えないで出来た方は、嬉しくて笑い、出来なかった方は、何で出来ないんだろう?と指を折りながら復習をされます。楽しく賑やかなときが進みます。

2時間たっぷりのゲームでしたので「1〜10」「1・2・3〜」「グーパー体操」「かたつむり」「茶つぼ」「グーチョキパー」「リズム運動2・3・4拍子」「お手玉回し」「ドジョウさんゲーム」「頭文字集めゲーム」「お正月に関する行事・食べ物ほか色々言葉集め」「シーツ玉入れ」「じゃんけんゲーム」まで出来ました。

とても良い雰囲気の中、笑える仕掛けのあるゲームでは大笑い、表は寒風吹きすさぶ中、カーディガンや上着を脱がれる方が何人も居られました。

美味しいドーナツと熱々のココアを頂き、お開きになりました。

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②ホームで
予防ゲームを年に一回、地域のふれあいサロンに呼んで下さる方が言われるには、ご自分の友人が、認知症も少し出て来てホームに入ったが、遊びに行くと何にもすることがなく寂しそうなのでと、施設の方にスリーA方式のゲームを紹介して下さったところから今回初めて、お声がかかりお伺いしました。

参加者20名の予定が40名、実際は47名とスタッフさんで大きな大きな輪が出来ました。車いすの方も多く、足元のお悪い方、杖歩行の方々と進め方が難しそうだと感じながら、暖房が良く効いた談話室でゲームをしました。

私の自己紹介後「私の声が聞こえますか? 聞こえる方は手を挙げて下さ〜い」「は〜い」と遠くの方も手を挙げて返事をしてくださいました。

1時間の予定でしたので、判りやすい「1〜10」「かたつむり」「グーパー体操」「グーチョキパー」「リズム2・3拍子」「お手玉回し」「ドジョウさんゲーム」「じゃんけんゲーム」をしました。

じゃんけんゲームでは、最初に負けてしまった方5人の方に、レイをかけて待っていてもらいました。車いすの方も、足元のお悪い方も、リボンを握ったまま、座られたままで、じゃんけんをする様子がなかったので、両隣の方・スタッフ・付き添いの方が出前じゃんけんをしに行きました。勝ち進んだ車いすの男性の方が一人で進まれ、スタッフの方が「○○さん、自分から進んでいる〜」と驚いたように笑顔で言われていました。幾つになっても「勝つ」ことは元気が出るのですね。でもジャンケンをしに車イスで出張したのにその方、負けてしまわれました。

向かい側から離れたままでじゃんけんをしたり、勝ち残っている方々を遠くからじゃんけんをしたりと賑やかでしたが、女性が最後は優勝しました。真っ先に負けてレイをかけた男性3人、女性2人の5人の方々に感想を聞きましたら、今日は楽しかった、じゃんけんはいつも負けるんだ、しっかりした口調で発言をしてくださり、握手を求めて下さった方もおられ、嬉しかったです。
 
最後に優勝者は、47名もいらっしゃる中で235本のリボンを首にかけて紅潮した顔で皆さんの拍手の中緊張されていました。「一人5本、47人で何本ありますか?みんなで計算してください! 1本1万円で235万円、もしもいま、おかねが入ってきたら何に使いますか?」「みんなで食べるお野菜を買います」でした。

遠くの方の表情がよく見えないまま・理解したかどうかが判らない中で進める難しさがあり、不本意なゲーム運びとなりましたが、スタッフの方々は、皆さんいつもと違った楽しそうな顔と笑顔が出ていて、とても良かったです!と仰ってくださり、少しはお役に立ったのかとホッとしました。次に呼んでくださる時には、20名前後のグループでやらせて下さい、何度でも来ますから〜とお願いしましたら、今回は、みんなでやって頂こうと欲を出してしまったとのことでした。

必ずまたお伺いしますと約束をしてホームを後にしました。

(運営委員 福井恵子)