日 時 平成25年3月15日(金)
場 所 池田泉州銀行講堂
講 師 大久保恭子氏(関西外国語大学教授)
聖母マリアは、聖書にはあまり詳しく記されていませんが、
公会議(431年)において神の母として正式に認められました。
そのマリア像を美術を通して解説していただきました。
マエスタ(荘厳)から紐解きますと、ジヨット(1310年)は厳しい
顔を、ラファエロ(1505年)はおだやかな表情を描いています。
次に多くの画家達が競って描いた受胎告知では、マルティーニ(1333年)が大天使ガブリエルの告知に身に覚えがなく当惑するマリアを、ロレンツェッティ(1344年)が父なる神を仰ぎ見るマリアを、そしてアンジェリコ(1435年)が自然でおだやかなマリアを表現いたしました。
またイエスの十字架の降下・ピエタ(慈悲)では、ベッリーニ(1515年)が物静かに、レンブラント(1634年)はあきらめ顔に、ルーベンス(1611年)はため息の出ているような表情を、グリューネバルト(1512年)は気を失ったマリアを、そしてウェイデン(1435年)は涙を流す聖母を描いています。
そして極めつけはバチカンのサン・ピエトロ大聖堂にあるミケランジェロ(1498年)の永遠に歳を取らない処女マリアの姿でしょう。(写真)
このように表現にはいろいろと差はありますが、これはその時代背景や芸術家自身の考え方によるもだと思われ、聖母マリアが神に近い存在なのか、人間に近い存在なのかにより異なるのではないでしょうか。