思いのほか早く桜が開花し、いよいよ”花見”と思っていたら、強風のためアットいう間に散ってしまいました。花の命の短さを実感しました。
 3月26日に、フィリピン人留学生の奥様LANIさんを迎えて、歴史や風習などのお話を頂きました。参加者は10名。LANIさんは、フィリピンではNGOで活動された経験をお持ちで、3人の子供の母親です。3年間別府で暮らし、夫の阪大への留学に伴い、豊中に来られました。 以下興味のあった内容を紹介します。

 先ず初めに、日本との共通点は何かと問い掛けがありました。一番の共通点は、両国とも島国ということ。フィリピンには約7,100(日本は約6,800)の島があり、国土は日本の約8割です。人口は1億377万人とやや少な目。気候は乾季と雨季の2シーズン、平均気温は1年を通して25〜30℃で、ほとんど変わりません。作物や果実によっては、年中収穫できるものもあります。台風が年に20回弱通過し、排水が悪いため道路がすぐに冠水するので問題だと。筆者も出張時に何度か道路の冠水を経験し、一度は帰路遠回りしなければならず、飛行機に間に合うかハラハラしたことを思い出しました。

 歴史は複雑で、先史時代の研究は殆ど進んでいません。1571年までは、統一国家は存在せず、部族国家が分立状態でした。1521年にマジェランの遠征隊到着以来、スペインが勢力をのばし、1898年までスペインが統治。その後アメリカが領有し、1941〜1945年まで日本が統治しました。 

1946年に米トルーマン大統領が独立宣言をして、フィリピン人が大統領となって自由を獲得したはずでしたが、独裁的政治が続き現在も民主化の努力が続けられている。

 民族構成は、タガログ族28%、セブアノ族13%など多民族国家であり、公用語は英語ですが、多言語が使われています。

 食べ物もバラエティーに富んでいて、マンゴーやバナナも何種類もあります。ココナッツも日常的に食べられ、果汁、果肉、中皮、外皮まですべて余すところなく100%利用されている。メインの料理は、鶏肉をベースにして色々な料理法、味付けで食べられている。

 風習は、カソリック教徒が約83%であることからも分かるように、スペインの影響を色濃く残しており、学校などでも始業前に毎日お祈りをささげます。また、家族を大切にし、大家族(映された写真では17人家族)で生活し、高齢者は家族で面倒を見てもらっています。筆者が勤めていた会社の関係会社では、現地人工場長が縁故者を重点に採用するので、いささか問題だった事を連想しました。

海外への出稼ぎ者が10%あり、仕送りで家族を支えているということも紹介されました。日本では高齢者にどのように接しているか問われましたが、敬語を使う程度で、改めて特別なことはしていません。フィリピンでは挨拶の際、手を取って口づけをします。これもスペインの習慣か、カソリック教徒の儀礼によるのだろうか。
家族以外でも隣近所の絆は強く、例えば引っ越しの際には、近所の人が集まって手伝いをして、終了後は全員でのパーティーとなります。お祭りは村々で、祝い方も、衣装や化粧も、時期も大変異なり、それぞれ特徴のあるお祭りが行われています。ある村の収穫期に行われるお祭りでは、家の外壁全面に、収穫した野菜や果物を張り付けて祝っています(右写真参照)。日本のジャン・ケン・ポンは、フィリピンではTaukenpoyと言い、石・紙・ハサミの他に火と雨の5種類が使われ複雑です。
 最後に、参加者が「日本で驚いた経験はなにか?」と尋ねたところ、「子供を叱る際に頭を叩いていること。頭は最も大切な場所なので理解できない」との返事でした。

 次回開催は、4月16日(火)10:00〜12:00 
 仏 リヨンに4年間駐在された坪井さんの、リヨンでの暮らしについてのお話です。
(文責 濱崎)