行基菩薩の救済事業

日 時 平成25年4月18日(木)
場 所 池田泉州銀行講堂
講 師 水野正好氏(奈良大学名誉教授)
 僧・行基は奈良時代に活躍した人で、多くの民衆のためにその
生涯をささげました。
 行基の師匠は道昭(遣唐使)で、その師匠はあの三蔵法師です。
 三蔵法師は艱難辛苦の末インドに渡り、現地で仏教を習得する
とともに、馬22頭分の仏典を中国に持ち帰りました。
 帰国後の三蔵法師の仕事は、①仏典の翻訳、②民への救済事業でした。
 その三蔵法師のもとで修行をした道昭は数々の仏典を日本に持ち帰り、その教えを広めました。
 道昭に師事した行基は、「多くの病苦や貧困に悩んでいる民を救うのが仏教である。」とのポリシーのもと、様々な事業に取り組みました。
 たとえば、①道路の両脇に果実を植え、誰でも食べられるようにする、②薬を調合して無償で支給する、③衣服の洗濯や繕いをする、④食事を提供する等々から、⑤土木工事(橋梁・道路等の造成工事)まで、心に響く救済事業を次々と手掛けました。
 当初 朝廷ではこの行基の行いを快く思わず、「僧は寺で仏の教えを学ぶものだが、行基とその弟子は道路に散らばり、人民を惑わしている。」と非難いたしましたが、やがてこの行基の一連の行為を聖武天皇が評価するようになり、ついに「大僧正」そして「大菩薩」と称されるようになったとのことでした。