— 苦慮した講演会場の決定 —
会場選定にあたり、この催しの参加人数の推測は5,000名から10,000名とし、それに見合う会場をと調整が進みました。
しかし、これ程多数の聴衆を収容する能力がある施設は、西宮に所在していた球場ぐらいしか見当たりません。
会議所は、宝塚市内で行うことを必須条件にしていたので、阪神競馬場が唯一の候補地となりました。
一部婦人会員などから「ギャンブル場に聖女を招くのはどうか」との意見も出されたものの、交通・会場の安全性・場内の風致など総合的な見地から、むしろ条件が整っているとの結論に達し、競馬場での講演をお願いすることとなりました。
このことは、約30年前の競馬に対する社会の見方が如何様か窺い知ることができる事象でありましょう。
— 阪神競馬場(室屋 浩一郎 場長)の対応 —
カトリック修道女の講演ということもあり、特定の宗教活動の催しには、JRAの施設貸与可否決定が慎重にならざるをえませんでした。
しかしながら本件に関しては、市内の主催団体からの貸与依頼に加え、各宗教の垣根を越えた普遍的な活動をマザー・テレサ女史が熱心に行い、講演3年前にノーベル賞を受賞した経緯もあることから、JRA本部との難しいやり取りもなく、速やかに開催の決定が行われたようであります(当時の庶務課長 鈴木 嘉一 氏、会計課長 日置 実 氏・談)。
なお、青年会議所と競馬場との交渉には、同所会員 時田 嘉一 氏(馬具製造販売会社社長)が尽力され、これが、スムーズに会場の決定がなされる一因となった、とのことです。
— 講演会の実施 —
昭和57(1982)年4月25日 13時から15時、
マザー・テレサ女史は馬場を背に、スタンドの大衆へ向かい演壇に立たれました。
素足にサンダル履きの姿で『LOVE for ALL』をテーマに講演をなされ、また、質問に応じられました。
予想をはるかに上まわる 17,000余名が、厳粛な雰囲気のなか、講話に聴き入ったとのことです。
まだまだ、エピソードは続きます! 〜3〜を お楽しみに!!!
リンク;JRA阪神競馬場
イラスト出典; Microsoft Office Online 『クリップアート』 より