雑談のステップ〜わたくしの苦い失敗

前回の続きです。

「雑談が苦手な人のために、雑談を集めるんだ」と人に言うと、皆さんは普段当たり前に交わしているような会話よりもハイレベルなものを想像してしまうようだ、というところまでお話しました。

その「ハイレベルな雑談」の想像には2種類ありまして、
◆ひとつは、「雑談=内容のある話題」を想像する
◆もうひとつは、「雑談=気の利いた会話」を想像する

今回は、ひとつめの想像をした人を例に挙げて、私が集めたい会話、および、過去の苦い失敗についてお話いたします。

◆◆◆「こんにちは」から「話題」のあいだ◆◆◆
例えば、私が前に紹介した告知メールを読んで、こんなことをメールで教えてくれた人がいました。

「私は、初対面で30代半ばの男性と話す場合は、『おニャン子クラブでは誰が好きでしたか?』と聞くことにしている。たいてい話がはずむ」

そう、これも「雑談」ですよね。

でもですね、この人だって、まさかいきなり
「こんにちは。初めまして。・・・さて、おニャン子クラブでは誰が好きですか?」
と、言っているわけではないと思うのです。
だってびっくりしますよね。いきなりおニャン子と言われても。

「こんにちは」から「おニャン子」までのあいだに何か、おニャン子へと続く助走のような会話をしているはずなのです。私が集めたかったのは、その「助走」なのです。

会話にはステップがあって、
(1)目が合うなどのボディランゲージ

(2)挨拶

(2)’挨拶がわりの軽い会話(時候の挨拶とか、会話そのものに深い意味はない)

(3)内容のある会話、もしくは用件
と、いうふうになるのだと思います。

先ほどの「おニャン子では誰が好き?」はこの中では(3)内容のある会話 になると思います。

「挨拶代わりの軽い会話」を(2)’としたのは、この(2)’は省略される場合もあります。「さっそくですが」と、用件に入る場合ですね。仕事なんかだとそういうことも多いです。

でも、でもですね。
一日人と関わりながら過ごしていたら、交わされるのは用件のある会話だけじゃないですよね。用件のない雑談だけの会話も多いです。

休憩時間や飲み会なんかだと、まさに「おニャン子では誰が好き?」といった話になるでしょう。
そうなると、(2)’挨拶代わりの軽い会話が非常に大事になってくるのです。
私が集めたいのは、この(2)’なのです。

◆◆◆「こんにちは」から「内容」のあいだを省略した日々◆◆◆
何故わたくしがこんなに(2)’挨拶代わりの軽い会話 にこだわっているかというと・・・

勿論、この(2)’がとても苦手だからです。

実をいうと、この(2)’を全くやらずに(1)→(2)→(3)とやっても仕事なんかは何とかなります。

ワタシは(2)’だけでなく(1)ボディランゲージも苦手なんで、(2)挨拶→(3)用件 だけで会社員時代、やってまいりました。
・・・これでも何とかなります。何とかなるからこそ、どうにかリーマンやっていたのです。

でも・・・
やっぱりやりにくかったですね。特に休憩時間とか、飲み会とか、行き帰りで一緒になったとか、人と一緒になる場面で。

恥をしのんで告白しますと、けっこう「こんにちは。・・・・・・・おニャン子では誰が好きですか?」みたいな感じで、挨拶の次にいきなり内容を持って来てしまうことも、よくやりました。

そうすると、相手は怪訝そうな顔をしながら、一応答えてくれます「うーん、新田恵理かな」などと。
しかし、その後、99%以上の確率でこう聞き返されました。

「なんで?」

ああ、このブログではフォントサイズを調整できないのがもどかしい。
ホントにこうなります。(2)’を抜きにして、相手と向き合ったときに唐突に(と、ワタシは思っていませんでしたが、相手からすれば唐突に)「おニャン子では誰が好きですか?」「**さんの習ってる絵画教室ってどこにあるんですか?」「お子さんの**って名前はどんな漢字を書くんですか?」などと聞くと、返事はいつも同じ。

「***だけど・・・なんで?」

もちろん、ここで話は終わってしまいます。し〜ん。

相手からすれば、唐突になんの脈絡もなく、こんなふうに聞かれたら「なんかそういうことを聞く必要性があるのか?」と思うのでしょうね・・・・と、今になったら分かります。

当時は分かりませんでした。自分なりに一生けんめい「雑談」をしているつもりでした。
ワタシはこの苦い失敗を重ねた挙句、(2)’の存在と重要性に気づいたのでした。

◆◆◆そして2005年、タイトル変更◆◆◆
とまぁ、このような経緯がありまして、どうも「雑談」という言葉の定義が広すぎるんだな、と思うに至りました。
そして、熟考のあげく「雑談データベース」ではなく、より(2)’を表現していると思われる「『会話のきっかけ』レシピ」へとタイトルを改めました。

つづく

grass green*bako*