ラジカセテープ

ラジカセテープをはじめて買ったのは、覚えている中では、僕が小1の時

兄の9才の誕生日会に流すつもりで、母が買った

田原俊彦のテープが欲しかったのだけど、売り切れていて、無くて、

あしたのジョーのテープを買った

16才の時、久しぶりに聴いた

ひきこもっていて、母親を蹴ってばかりいて、どうしようもなかった

僕の心に、テープの音は響いた

涙が出てきた

でも、その後も、数年間は、母を蹴り続けた

30才の時、通信制高校に進学するさい、

久しぶりに聴いてみた

泣けてきた

テープをラジカセに入れて、セットして、ボタンを押して、聴く

その行為にも泣けてきた

僕は、また、生き延びたのだと感じた

35才の夏の終わりに、ホントに久しぶりに、同じテープを聴いてみた

音が少し乱れていた

でも、泣けてきた

またしても、泣けてきた

そこに居るのは、ジョーでも、力石でも、白木葉子でも無かった

僕だった

僕にも青春があった

確かにあった

涙がとまらなかった