94歳で完成 ! 源氏物語現代語訳。

『にっち倶楽部』に『折々のうた』を連載してくださっている
橋本武さん(94歳)が、
8年の歳月をかけて、源氏物語の現代語訳を完成されました。

 夢に見し夢浮橋渡り終へ
 つぎに渡るは三途の川か

右の写真で見るように、現代語訳といっても、
上段に読みやすくした草体仮名で手書きした原文を載せ、
下に、読み下し文を入れ、その横に緑色の文字で、
現代語訳を入れる手のこんだもの。
ガリ版切りで鍛えた腕を存分に発揮した手作り本全63冊なのです。
もちろん、和綴じも、ご自分でされたのでした。

そう、橋本先生は灘中学・高校に50年間勤めた、名物国語教師。
検定教科書を使わず、
中勘助の書いた小説『銀の匙』から手作りの教科書を作り、
「生徒に仕事をさせる」工夫をされたユニークな先生なのです。
(教え子のフジテレビ解説委員黒岩祐治氏が『恩師の条件』を書いている)

昨日、完成を祝うパーティが開かれ、教え子ら300人近い人が集まり、
にっちも招待を受け、感動を味わってまいりました。
(源氏現代語訳第一巻「桐壺」、最終巻「夢浮橋」の手作り本2冊が、
参加者一人一人に配られました)

ライフワークの現代語訳を完成されたら、
ガクっとこられるのではないかと心配していたのですが、まったくの杞憂でした。

 三途の川さうやすやすと渡りません
 この世でしたきこと多ければ

先生、これからも「したきこと」に勢力を注がれ、
私たちにも素敵な文書をお寄せください。