今の6月で102歳になられる浮田胤子さんが
俳句集『らちもなき』(ふらんす堂)を発行されました。
この句集には昭和59年から平成18年までに作られた
俳句約600句近くが収められています。
最近の作句を少し載せておきます。
正月の恙は百歳(ひゃく)の厄落とし
宗旨などどうでもよろしクリスマス
騙したき人皆逝きし四月馬鹿
といった大らかなユーモアとペーソスを感じさせる句。
もちろん正面から老いを詠った句もあります。
おはようもおやすみもなし冬一人
春悲し痴れし老友逝きしより
童女にはなり切れずして老いの春
難聴は痴れしにも似て冬淋し
90歳の時、阪神大震災で被災。
しかし浮田さんは、こんなたくましい句を詠んでおられます。
生きのびて何をはじめん涅槃西風(ねはんにし)
タイトルは
らちもなき俳句作って十二月
からとったもの。
白寿の歳にそれまで書いていた「5年日記」が終わったそうです。
平成17年から新しい日記帳に移ったとか。
浮田さんは今度もまた5年日記を書き始められたんでしょうね……。