老人ホームに暮す山野正徳さん(1916年生れ)にもお会いしました。
山野さんは、「街の芸術家」とでも呼びたいような方。
ホームでは、コンサートのたびに、ドイツ語やロシア語で、
歌曲や民謡、オペラを朗々と歌うテナー歌手。
ドイツ語は姫路高等学校で習い、
ロシア語やロシア民謡は、
兵隊として満州にいたとき、
共産主義革命から満州に亡命していた
ロシア貴族の末裔に習ったというから驚きです。
神戸市交通局に勤めながら、
好きで描きためた水彩画も、
飄々としたタッチが大好きです。
(右の絵は三宮にあったパブ「キングス・アームス」)
大腿骨を骨折してからは遠出を禁止され、
宝塚の施設に入っている認知症の奥さんを
見舞えなくなりました。
塩屋の海岸をステッキ片手に散歩し、
美味しいものを食べに、レストランを探して、
出かけるのが楽しみだそうです。
「今でも“I love you”って生きたいんだけど
相手がいないんだね」と大笑いされていました。
「“I love you”と生きる」
何て、素晴らしい言葉でしょう。
(右の山野さんの絵は
にっちに青蛙居士通信を連載くださっている、
橋本武氏のページに使わせていただきました)