春号のご紹介 ③ 盲目のバリトン歌手 時田直也さん

 2年ほど前、宝塚のプラザコムで「百歳の笑顔展」を開催中、偶然、
同じ敷地内で開かれていた
バリトン歌手、時田直也さんのコンサートを聴く機会に恵まれました。
 迫力のある歌声と、ユーモラスな話術にすっかり感心し、
いつか、にっちに登場していただこうと決めておりました。

 時田さんは、未熟児網膜症のために生まれつき目が不自由。
でも、香代子夫人と二人三脚で、小・中学校、教会、シルバーカレッジなど、
エネルギッシュに全国をまわり、
年間70回近いピアノの弾き語りコンサートを開いておられます。

 時田さんのブログの自己紹介欄には
「落語大好き少年!?本業は声楽家!!」とあります。
なるほど、話が面白いわけです。

 取材中にピアノの前に座って石川啄木の詩に越谷達之助が曲をつけた
『初恋』を歌って聴かせてくださいました。

 いいですね、歌いたい時に自分で伴奏をつけて歌えるなんて……。
こんなふうに歌うっていうのが子供の頃からの私の夢だったんですが、
うたかたの夢と消えてしまいました。