春号のご紹介 ④ こころ豊かな老後の生き方 (ⅰ)

 春号の特別インタビューは八尾の開業医、萩原隆さん(85歳)。
持病の拡張型心筋症に加えて、
前立腺がんの末期と診断され、
余命2年だとお医者さんに伝えられたそうです。

 それでも、午前中は診察を続け、午後は自分の時間と、
来客も外部との用事も断り、勉強に専念されています。

 萩原家は連綿と医業に従事する家柄で
萩原さんは〝医家十四代目〟に当たります。
萩原、八尾、医家と書いてくると、
文学好きの方はすぐに、ピンと来るかもしれません。
そう、萩原さんは、詩集『月に吠える』や『青猫』で有名な
詩人、萩原朔太郎の縁戚に当たられます。

「朔太郎の実家は前橋の医者で、父も中学時代、そこで勉強をしました。
一緒に青春時代を過ごした事もあって、父は朔太郎が大好きでした。
8歳違いですが、弟という感覚だったんでしょうね。
よく、大事なお友達という言い方をしていました。
朔太郎は医師の家に生まれながら医師にならなかった。
父は、それが自分の影響ではないかとずっと思っていたようですが、
その事を一生、口に出すことはありませんでした。
 僕は母から朔ちゃんみたいにならんようにってよく言われましたね。
つまり、医者になれという事で。
当時の僕にとっては朔太郎はまあ、反面教師だったかもしれません」。

と、萩原朔太郎について語られました。