取材が決まると、萩原さんから
新著『ザシキワラシ考』(編集工房ノア発行)が贈られてきました。
78歳から84歳までの「勉強」の成果が凝縮された本です。
各章は、萩原氏が興味を持って読んだ本から
萩原さんの琴線に触れる文章を書き写し、
呼び覚まされた考えを明確にしながら、
拡張・展開していくといった仕組みになっています。
ギリシャ神話、聖書、仏典から始まり、
生態学の三木成夫、吉本隆明を含めて、
200近い古今東西の名著が
この本の考察対象になっています。
例えば『更年期』の章では、
萩原氏は、進化論の発想から、
ヒトは、
種の保存のためには、閉経がないほうが有利ではなかったか?
自然淘汰によって閉経年齢が上昇しなかったのは何故か?
と、私たちには考えも及ばない設問をたてます。
「閉経女性は、子供を産むのではなく、
<未来の>孫や他の親戚を親身に世話することで
自分の遺伝子を担う固体を増やしている。
ヒトの女性は少なく産んでたくさん育てるほうを選択したのである」。
と、萩原氏はジャレド・ダイアモンドの著作を台本にしながら、
自らの考えを述べます。
ふと、取材で出会った百歳さんが「83人、みーんな私から出来た子」
と語ったことを思い出しました。
ヒトは、生物体としてだけではなく、
心を持った存在としても進化にかかわっていると言えるのかもしれません。