奈良に40年間続いている読書会があると聞いて、
取材に出かけました。その名は奈良婦人読書会。
婦人読書会の名がついていますが、
決して、会員が女性だけに限定されているわけではありません。

その日は新聞で紹介されたこともあり、
20名近くの会員と6名の見学者で、
奈良婦人会館の会議室は熱気ムンムン
(この日は参加者全員が女性でした)。
外の空気を入れるためにドアを開け放って、
読書会は続きました。

今回読んできた本は司馬遼太郎の『坂の上の雲』。
全8巻を読んできた感想を1人3分ずつ発表します。

そこは、当然、人それぞれ。1分で終わる人もおれば、
書いてきた感想文を5分以上述べる人もいます。

どなたもそれはそれは真剣に大著を読み込んでこられているようで、
その情熱、向学心に圧倒されました。

40年間、ずっと指導されてきたのは、
帝塚山大学名誉教授の鈴木昭一さん。
島崎藤村の研究家で、
馬籠にある藤村記念館の館長でもあります。

1時間に亘り参加者の感想を聞いて、
それを話しに織り込みながら、
『坂の上の雲』が展開する明治時代の背景を、
該博な明治文学の知識を駆使して、
説明されていきます。

参加者の情熱と鈴木先生の文学に対する気持ちの熱さがうまくミックスされて、
40年間もこの読書会を続かせる原動力になっているように感じました。

それにしても、10年で息切れしている私たちには、
40年の年月は、とてつもなく果てしない時間に思えてしまいます。