本誌に毎号エッセーを寄せてくださっている
橋本武さんを主人公にしたノンフィクション、
『奇跡の教室』が出版された。
「エチ先生と『銀の匙』の子どもたち」、
「伝説の灘校国語教師・橋本武の流儀」と
長いサブタイトルが付く。
著者は、伊藤氏貴氏。
1学年200人の中高一貫。
6年間をもち上がりで1教科1教師担当のユニークな灘校の制度、
敗戦後間もない教育の混乱期(文部省の力がそれほど強くなかった)、
そして橋本武と言う稀有の教師。
そんな条件が縒り合わさって、
3年間、中勘助の『銀の匙』を”スロー・リーディング”する
授業を生み出した。
忙しない今の時代、とてもじゃないが、こんな授業は不可能だろう。
きっと、世の親たちも黙っていないだろう。
しかし、こんな授業を受けてみたかった、
と思うのは、きっと、私だけではないに違いない。