詩人の司 茜さん、富田砕花賞に選ばれる!

にっちがインタビューしたことのある詩人、
司 茜さんの詩集『塩っ辛街道』が
第22回富田砕花賞に選ばれた。

富田砕花(1890年—1984年)は岩手県盛岡市生まれの詩人、歌人。
上京し、与謝野鉄幹、晶子主宰の新詩社に参加。「明星」に短歌を発表。
石川啄木に思想的な影響を受け、民衆詩派の詩人として活躍した。
ホイットマンやカーペンターを日本に紹介した。

富田砕花賞は、富田砕花が芦屋市に長く住んだことから、
平成2年に富田砕花生誕100年、
芦屋市制施行50周年を記念して創設された。

司さんは若狭高浜町の出身。
今、注目を集めている関西電力の原発がある街です。

2004年の美浜原発事故を題材にした詩『蜷局(とぐろ)』に
こんなセンテンスがあります。

 「蝉の声に目が覚める
 手から滑った本から話し声が聞こえる

 炉心部で作業すると十分もたたないうちにアラームが鳴るので
 他人のアラームと取り替えて作業を続けるんだ
 危険な作業所にはよく外国人がきていたよ
 毎日レントゲンを撮ってるようなものだから
 二、三カ月でいなくなったなあ
 ワシら年寄りが日に八千円も稼げるのは
 原電しか他にはあらへん

 私は小学五年生です
 原発のある若狭に 阪神大しんさいのような
 地しんがきたらどうなるのでしょう
 ミサイルこうげきを受けたらどうなるのでしょう
 まちの保健所にはほうしゃのうがもれても
 もれてから三十分の間にのめば助かるという薬があるそうです
 わたしはそんないい薬があるんなら
 家や学校や保育園幼稚園に置いてほしいと思います
 私はこの薬のことを聞いてすこしホットしました

 ヨウソ剤という薬の名前
 私の知らない薬に
 ホットした故郷の少女よ

 私はこの続きをどう書けばいいのだろうか

 また夏がきた」(詩集『塩っ辛街道』より)

「司 茜さんの詩集『塩っ辛街道』は、
著者の出身地若狭と現住地奈良とを結ぶいわゆる
「西の鯖街道」を太い軸として開陳される深い歴史観、
日常の中の非日常や不条理を見抜く眼力等、
リアリズムの中にも豊かな物語性を備えている。
東日本大震災以前に書かれた作品でありながら
若狭湾の原子力発電所の危うさを糾弾する詩等、予見にも満ちている」
選評によると以上が、司さんの詩集が選ばれた理由です。

久方ぶりに、明るいニュースに触れて、
スタッフ一同、大喜びしました。