電話口からは、話しの先を急ぐ女性の声。
「近くに住んでいる××さんにもしものことがあったら大変だから、出来るだけ早く、自殺しない内に・・・」
電話の主の女性(Aさん)が知り合った近所の高齢の女性(Bさん)は、千里ニュータウンのある住区で息子家族と同居しているらしい。だが、嫁姑の関係を超える精神的虐待を受けているらしい。外出は必ず前日までに嫁の許可を受けなければならず、食事は同居しているにも拘らず買ってきた弁当を与えられ、家族の食事が終わった後に出され、暖められることはなく冷たいままだそうだ。
Bさんが息子家族と同居している家から出て、一人住まいさせてやりたいというのがAさんの依頼であった。早速千里ニュータウン内の公社、旧公団の賃貸住宅の空きを探してみたが、希望条件に合う家賃の安い住戸に空きはなく、千里ニュータウンの周辺部の民間賃貸住宅の空きを探してAさんに連絡した。
それから数日が経過したがAさんはBさんと連絡が取れただろうか。Aさんは地域の福祉委員会や民生委員がプライバシーを守らない人達なので、彼らには頼めないと言っていた。地域に近過ぎることが障害になるのかもしれない。
千里ニュータウンは豊かだとは限らない。福祉住宅もあれば、戸建住宅でも年金だけでは生活が苦しい高齢者もいる。開発から40数年も経過すると”夢”だけでは済まない”現実”がある。