福祉ジャーナリストの安藤です
この秋に開催された国際福祉機器展HCRの取材レポート、今回は移動支援機器編
アクティブ歩行器(ハートウォーカー)/ハートウォーカージャパンhttp://www.hart-walker.co.jp/
新発売ではありませんが、下肢に機能障害のある子ども向けに開発された歩行器です。身体の状態に合わせて細かに適合できるフィッティング性能に優れています。このようなスペシャルニーズに個別対応できる製品はまだ少ないのではないでしょうか。
この歩行器を利用すれば立位での生活が実現します。両手が自由に使え、子どもたちの生活を激変させる可能性を秘めているのです。ただ問題は大きさでしょうか。日本の家屋はサイズが小さくて、「壁の近さ」=「移動するときの手がかり」として自立支援にプラスとなる面もありますが、こうした機器を導入するときは住宅モジュールの小ささがネックとなってしまいますね。施設や学校では問題ないでしょうが。
立位ということでは、スタンディング機能付きの車いすがあります。普通の車いすに見えるのですが電動モーターか手動ジャッキアップによって体幹を保持しながら座面やバックレストが持ち上がり、立位になれるというもの。例えば図書室で本を探したり、立ち話をしたりと、生活全般を支援する機能として有効ですが、これもまだ普及が進んでいませんね。(普及の進まない制度やなんかの理由については、また別の機会に)
川村義肢http://www.kawamura-gishi.co.jp/
車いすから補装具全般、そしてスポーツ用品まで扱う川村義肢では子ども用サポート用品のカタログを配布していました。子ども用の試作車いすを発表していたオーエックスエンジニアリングなど、とくに車いすメーカーは子ども向けの商品開発に熱心ですね。
パンテーラ・ジャパンhttp://www.panthera-japan.jp
スウェーデン製のリジット車いすを輸入販売している同社は身体に合わせて車いすを調整して残存機能を最大限引き出す車いすシーティング理論を早くに提唱してきたことでも有名です。子ども向けに力を入れていて、会場で試乗した子どもが、生まれて初めて自分で漕げたと親子歓喜するといったことがあるほど。車いすは製品選びではなく、シーティングが決め手ですね。もちろん他社にもシーティングできるモジューラー車いすが増えていますが折りたたみ機能を捨ててまで走りの軽快さを追求している点でパンテーラは秀逸です。
ピエドロ/ハートウォーカージャパンhttp://www.hart-walker.co.jp/
オランダで作られている整形靴です。デザインラインナップがすてきで、いくつか展示されていた整形靴のなかでおすすめ。価格は35000円ほどの予定とのこと。福祉機器は生活用品であるという意識がだいぶ高まってきたのでしょう。デザインで引かれる福祉機器が多くなってきました。介護系ではまだまだという感ですが、子ども向けでは各社が競い合っていますね。ファッション系子育て誌に掲載してもいいくらいのデザイン性ありって機器が増えています。
福祉機器は子どもの身体機能を補う第2の身体です。きちんとフィッティングして使うと子どもの能力を驚くほど引き出しますが、取材舎としての印象ですと、まだ使いこなされていないと思います。
その理由の一つは福祉機器のフィッティングを精度高くできる専門家が少ないこと。だから保護者グループなどの口コミで●●が良いらしいよと広がると、そのグループの子どもたちは同じ機器を使っているというケースを何度も見ました。
幸いにして、インターネットによる情報検索が使えるようになってきましたから、輸入代理店やメーカーへ直接問い合わせてその製品がうちの子に使えるか可能性を探ることもできますね。そこから販売店を紹介してもらい、彼らの支援を得ながら自治体の福祉窓口と交渉するというのも現状でベストな福祉機器探しだと思います。
なんとなく、うちの子に使える良い物がないかしらと探すときHCRのHPから製品検索をすることができます。そしてこれという製品がヒットしなくても、子ども用などを扱う輸入代理店やメーカーに困っていることを相談して良い製品を探してもらう、紹介してもらうこともできます。ぜひ活用してみて下さい。