剣術、居合の型では、縦(上下)に切ることが基本となる。
一見、横(水平)に切った方が範囲が広く、相手も避けづらく感じるが、そうではない。
縦に切ると、
相手の剣筋と自分の剣筋は最後に必ずズレる。
剣筋が、最後まで一致することは、相打ちを意味する。
初め一致させ、○と□を以ってズラす事ができ、相打ちを避ける。
それが捌き・避けるということ。
初めから、避けることは△しかなく、相手に悟られ(△)、ズレることはない。
ズレるというのは、その前に一致している(△)必要がある。
一致とは、自分と相手の利害の一致。
一致は、
自分の身体が自分の剣筋にあり、相手の剣筋でもあること。
縦に切ることの意味は、
自分の身体が自分の剣筋にあることで、身を守っている。
(最後にズレれば、自分の身体が自分の剣筋にあるので、切られない。)
と同時に、
自分の剣筋上に、自分の剣と身体があることで、
自ら自分を切ることを相手に示しており、これは最良の○となる。
なぜか。
○は、相手が最も欲する方向であるべきである。そうであれば相手が喜んで誘われるからだ。
武術の場合は、命のやりとりより、相手が欲するのは、自分の身体に近づくことである。
だから、相手は自分の懐に入りたがり、懐に入れさせることが最良の○になりえる。
これは、「懐の深さ」に通じる。
よって、縦に切ることが基本となる。
では、なぜ横に切るのか。
稽古では、横に切って、縦に切れているかを確認することで自分の粗をだせる。
それで自分の技術(心技体の出来)がよく分かる。
横が縦からみて、最も離れているからだ。
技量をみるために、わざと遠回りをつくっている。
これは、「合気道の型が役に立たないようにできていること」に通じる。
実践では、
横を縦のように切ることができれば、縦の利点を保ちつつ剣の角度が自在になる。
かつ、横にふるので、範囲が広い。
よって、縦が基本となり、横が応用となる。
横に切って、
どのくらい自分の身体を剣筋に入れられるだろうか。