昨年末に、香川県高松市でNPO法人わははネットが運営している「子育てホッとスペース わははひろば」を見学させていただき、話題の子育てタクシーについても取材させていただいた。
わははネットでは、広場の運営や子育て情報誌「おやこDEわはは」の発行などを通じて、子育て中の親からのさまざまな声が寄せられる。その中で、「急な用事などでタクシーを利用したいと思うことがあるが、実際には小さな子連れだと利用しづらい」という声があった。タクシーが、もっと身近に、もっと親切に、もっと子育てに理解があればと考え、「子育てタクシー」というものを運行できないかと、タクシー会社と交渉を始めた。
交渉は容易ではなかったが、高松市内の花園タクシーの社長との出会いが、子育てタクシーの実現への大きな一歩となった。
社長さん自身がまだ小さなお子さんのいる母親だったこともあり、わははネットからの申し出に共感できた。社長としてしてでなく、一人の母親として協力したいと考えたそうだ。社内に乗務員に相談し、賛同してくれた乗務員と施行運転をすることになった。乗務員は、わははネットの主催する子育てサークルリーダー向けの講習会に参加して、今の親への理解を深め、手遊びなども練習した。
平成16年7月に1か月間試験運行を実施し、利用者からは大変好評だった。タクシー会社としても、「乗務員が社会に貢献していると自信を持ってサービスに取り組むようになった」とメリットを感じた。こうして、子育てタクシーは継続して運行していくことになった。現在では、子育てタクシーの輪も広がり、県下で7社が取り組んでいる。