「企業の子育て支援の可能性と方向性」・・という原稿を書きながら、いろいろ思い出したり考えたりしました。
企業が社会的な責任において、NPOやその他団体とどのように連携するか・・という視点を軸に書きました。
企業が子どもや子育て系のNPOと連携するときは、かなりきつい状況のところの支援をやっている団体や行政の支援のないところを選ぶことも多いようです。
そこでまず出てくるのは、親のいない子どもたちや難病の子どもたち。
特に臓器移植でアメリカなどにわたるために募金を集めると、企業からだけではないですが、けっこう集まることが多いようです。
先日の募金も1億円以上になったらしい。
臓器移植など難病はかわいそう度が高く、緊急で、また情報が細部まで公開されたためだと思います。
そこで次に思い出したのは、国立小児病院のこどもたち。
あかねちゃん・・は、私の子のとなりのベットにいて、ず〜〜っと天井を見つめていました。
1歳くらいだったかな、人工呼吸器がついていたので、あまり動けないのです。
ご両親は東京在住ではなく、病院まで遠いので、家庭の事情でほとんどお見舞いには来られませんでした。
看護士さんたちは、そんなあかねちゃんをとってもかわいがり、「あかね〜!」「あかね!」とよく声をかけていました。
靴下を買ってきたり、ぬいぐるみを買ってきたり。
わたしもそのうち、かわいいゴムやピン止めなどを見つけると買ってきて、あかねちゃんの髪飾りにしたりしていました。
そんなある日、看護士さんの中で特にあかねちゃんを気にかけているように見えた方が、あかねちゃんの世話をしながら私に話しかけてきました。
「おかあさん、私この病院を辞めることにしました」
「え〜〜?なんでっ?何か別にやりたいことでもあるの?」
「乳児院に行くことにしました」
彼女いわく、
病気の子どもより、親のいない子どものほうがかわいそうだ。
病気の子どもは親からは愛されている。
あかねちゃんのように、いくら看護士さんがかわいがったって、看護士さんにとってはたくさんの子どもの中の一人。
でも、親はその子にとっては、特別に自分を愛してくれる人なんだもの。
その親・・がいない子どもはかわいそうだ。
ということでした。
病棟であまり親が面会に来ない子どもはほかにもたまにいて、それはとても悲しいことだと思いましたが、そのような現実は、以前は想像さえしたことはなかったのです。
そして、あかねちゃんとその看護士さんを通して今度は、病気じゃなくたって親に見捨てられてしまう子がいるんだ。という実感をしたのです。
私が病院から去る日、あかねちゃんはいつもと同じように天井を見ていました。。