2013年2月12日に東京しごとセンターにて、福島からの母子支援ネットワーク「子どもの命を守る母たち」のシンポジウムが開催されました。
3.11以降たくさんの方たちが東北から東京にも避難されていますが、まだまだこれから支援が必要なこともあります。
4回目となる今回のシンポジウムでは、避難者への福島帰還の圧力が大きくなってきている中、保養プログラムなど福島から子どもたちを外に出していく逆の動きをテーマとしました。
ビデオ・現状報告として福島から親子で自主避難されている方、活動報告とディスカッションとして、企業、NPO、弁護士団体から各1名にご登壇いただきました。
震災後小学生の二人の女の子を連れていわき市から自主避難されたママは、放射能があることを知らされず何時間も水をもらうために子どもと外で並び、何故あの時子どもを連れて行ってしまったんだろうと、今でも心に重く残っている思いがあること、また、ずっと夜泣きが続いていた長女が、夏休みの沖縄での自然体験からすっかり元気を取り戻したことなど話されました。今でも福島に残るお友達と連絡を取り合っていますが、子どもを保養に出したくても希望者が圧倒的に多く、行ける子どもと行けない子どもがいるそうです。
COACH JAPAN コーポレート・コミュニケーションズ シニアディレクター 石田敦子さまからは、昨年11月に明治神宮球場に約200名の福島のご家族を招待して開催したベースボールチャリティのイベントのご報告とビデオ、企業としての取り組みとNPOとの連携についてお話しいただきました。
このイベントはシンポジウムの主催団体であるNPOこどもプロジェクトとキッズドアがCOACH JAPAN 様の特別協賛で開催し、ヤクルト球団のご協力で実現しました。
次に、都内で大規模な保養プログラムを実施している「福島のこどもたちとともに 世田谷の会」 代表 星野弥生さまに、春、夏、冬と世田谷区内に福島からご家族を呼ばれて実施した保養プログラムの報告と、自治体や地域住民の連携についての詳細をご説明いただきました。人口88万人の世田谷区ならではの市民活動ですが、先駆的なモデル事業として他の自治体にも広がって欲しいと思います。
最後に、3,11以降立ち上がったいくつかの弁護士団体の中で、昨年6月に成立した「原発事故子ども被災者支援法」の立案と成立後は日本全国に講演に回り啓発に尽力されている「SAFLAN 福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク」の 弁護士 江口智子さまから、支援法のポイントと現状、今後の進め方などをお話しいただきました。
避難する自由、避難しない自由、帰還する自由、どれも守られながらも支援を受ける権利があるということが前提で、①幅広い範囲での健康診断 ②移動教室・保養プログラムの推進 ③離れ離れの家族の移動交通費 ④避難者の住宅の確保、の4つが大きな支援の柱ということです。
支援法は、もともと国が定めた避難区域以外からの避難者の方々を守るために、超特急で議員立法により成立させましたが、まだ基本方針が策定されておらず今回の修正予算にも入っていません。
基本方針を早く固めて動き出すように促すことが大切とわかりました。
パネルディスカッションでは、会場から保養プログラムに関して保養に行くこと自体放射能があって危険という前提になるため、福島県内の方々は秘密にする、友達には言えないという風潮がある、予算だけの問題ではなく実際に参加する者たちの気持ちの問題を解決しないといけないのではという質問がありました。
それをなくすためには、被災者支援法をより広く知ってもらうことも必要です。
また、民間だけでなく、教育という目的で学校(教育委員会)単位で移動教室ということを始めている伊達市のような事例もあり、自治体にもそのような動きが広まっていけばよいと思いました。
震災3年目を迎え、今後の方向性が問われる時期に来ています。
多くの方に関心を持っていただきながら、これからも子どもたちを守る活動を続けていきたいと心を新たにしました。