2018年7月22日、高知県立大学看護学部・前まつしま病院助産師の幸﨑若菜さんと、まつしま病院ソーシャルワーカーの宮下有希さんをお迎えして行いました。
幸﨑さんのお話:若者が妊娠することで学ぶ機会を奪われていることが多い。出産=退学という暗黙のルールがあり、教育の機会が奪われ、貧困の連鎖を生みかねない。
まつしま病院では、今後の避妊に関して資料を配布し、本人が希望すればパートナーへの避妊指導も行っている。月経周期や避妊など、自身の体に起きていることを理解していない女性が多い。アメリカや欧米では、ていねいな性教育が行われており、コンドームをつけない危険性も教えられている。
性暴力について、WHO(世界保健機構)は、『強制的であったり、暴力や傷つけるという脅しを用いて行われる性行動のすべてであり、望まない性的コメントや接近、人を売買する行為も含まれる。被害者との関係や状況(自宅か職場かなど)を問わない』と定義している。日本の「強姦神話」(女性が挑発するから被害を受ける、など)は間違い。強姦では被害者の40%、強制わいせつでは被害者の50%が未成年であり、0〜5歳の数字もある(平成27年犯罪白書)。強姦について、アメリカでは加害者が「合意をどうとったのか」を問われる。日本では被害者が「暴行、脅迫があったか、さらにそれにどう抵抗したか」を問われており、それは間違っている。従って刑法の改正(暴行脅迫を廃止。同意を取ったのか証明するように切り替える)が必要。
学校でできる支援も多い。性について教え、NOと言っていい、SOSを出していいと教える。被害に気づいたら連携して対応を考える。教員向けの研修も必要。
思春期の若者に関わるみなさまへ、相談してくれたことを認め、どこに相談すればいいのかを教える(東京のワンストップセンターは、SARC(サーク)東京)など。
宮下さんのお話:病院は、『医者に言われたとおりにするところ』ではなく、自分が主人公となって医療をどう利用するか考える場である。まつしま病院はそれをめざしている。医療ソーシャルワーカーは、患者さんやその家族の抱える経済的・心理的・社会的問題の解決、調整を援助し、社会復帰の促進を図る。10代の利用者は様々な困難を抱えているが、成長の伸びしろが大きいので、手厚い支援が必要である。
妊娠や性暴力被害などの若い世代の困難さを思うと同時に、具体的な寄り添い方に大きな示唆を与えられた講演会でした。