この映画は、“障害児教育の母”と呼ばれた石井筆子を中心に、全財産を捧げ日本初の知的障害児施設「滝乃川学園」を創設した石井亮一、献身的に働く人々、たくさんの知的に障がいを持った子ども達が登場し、筆子の一生を描いたものである。
明治期の日本は、女性の社会参加の権利が認められておらず、キリスト教を信仰している者への迫害も行われていた。そんな時代において、「社会福祉」という言葉は存在せず、障がい者、その家族への世間の眼差しはとても冷たく、差別用語も使われていた。
映画の舞台となる滝乃川学園は、国立市谷保に現在もある。私は学園を訪れ、見学したことがある。映画化され、どういう歴史が刻まれてきたのかを資料ではなく、映像として見ることができ、とても嬉しく思う。献身的に働く人々、多くの大人たちに見守られて健やかに成長していく子どもたちの笑顔は心に残った。 http://www.gendaipro.com/fudeko/ (スタッフ小星)
(会報「万里夢」2007.07.01発行号より)