隣で現地スタッフがくしゃみをしています。「大丈夫?」と声をかけたところ「たいしたことはないのだけれど、今日だけは困るんだ、風邪をひいてしまうと」との答え。何か特別な予定があるのかと問う私に、彼は照れを隠しながら「実は結婚記念日なんだ」と教えてくれました。
○○記念日というと、夫がすっかり忘れてしまって妻が怒る−というテレビドラマの構図が目に浮かんできます。きちんと覚えていて偉いね!と褒めると、自分は記念日を記憶するのが苦手だから、PCに彼の奥さんが大事にしている日をすべてインプットして、1週間前には通知が来る仕組みにしているとの種明かし。結婚記念日だけではなく、初デートの日、婚約をした日…かなりの数の記念日がありそうです。
「愛は結婚後に生まれるもの」というアラブ社会でよく聞かれる信条に強く共感している彼は、親戚にあたる女性の父親に1回のデートも経ずに結婚の申込みをしたそうです。現代日本とはかなり異なる結婚の過程ですが、結婚10年目を迎える今も妻の手料理と子どもたちに会えるのを毎日楽しみに帰宅する彼を見ていると、こういう幸福のかたちもあるのだと考えさせられるのでした。