ある漁網指導員の話。
「初日、私が訓練を終え、村を出ようと車に乗り込むと、少年たちが『町まで乗せて』と頼んできました。彼らだけを特別扱いできなかったため断ると、『もう来るな!!』と言われてしまいました。」
彼以外の他のスタッフからも次々と、同様の意見が寄せられました。

JEN事業村の一つ、ヤエヤワッタでの事です。
心理学の専門家の分析によれば、
①漁師である彼らの父親は家を空けがちで、厳しいしつけを知らずに育った、
②アルコール依存の父親が、意味もなく暴力を振るうので、子どもたちも情緒不安・根強い不信感がある
彼らのこうした態度は、①、②が原因のようです。

そんな彼らに対しJENスタッフが心掛けてきたのは、子どもたちの中に入って話を聞き、彼らの態度をとがめるのではなく、一人の人間として個性を尊重し、子ども扱いしないといった基本的な事でした。

そして約1月後、「悪童の村」に何が起こったでしょうか…?
放課後の課外活動では、開始時間前に子どもたちが集まり、指導員の到着を待っているそうです。

ひとたび信頼関係ができあがると、彼らは元の「明るく開放的な少年たち」に戻り、今では家庭でのトラブル、進学・就職などへの不安、被災のトラウマなどを相談してくれるようになりました。
JENスタッフは、心のケアを一番に考えて子どもたちと向き合い、今では子どもたちのよき相談相手となりました。