米国からの牛肉の再入をめぐり、事前に米国の現地調査をせずに輸入決定をしたことに対する中川農水相の対応が物議を醸しています。
中川農水相は「(事前の現地調査を行う)という閣議決定通りにしなかったという事実と答弁が違っていたこと」について陳謝したようだが、本来弾劾するべき事柄は「国民の食の安全を確保する立場にありながら、その認識が欠如していたこと」ではないでしょうか。
ちなみに、日本が米国産牛肉の輸入を禁止しているのと全く同じ理由で、米国はカナダやイギリスからの牛肉の輸入を禁止しています。
昨年ハリケーンで壊滅した南部の州にイギリスからの救援物資の食料が届いた際には、牛エキスが含まれているからという理由で米国民への配布を禁じ、その食料物資をBSE感染牛の規制がない国に横流しすると報じられていました。
BSE感染牛の摂取が原因とされる新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の症状がアルツハイマー病のそれと似ているために、実際はヤコブ病であってもアルツハイマー病と診断されたまま亡くなる人も多いそうです。
米国ではアルツハイマー病患者が過去20年で倍増しているそうですが、BSEの潜伏期間が8年〜15年と長いことを考えると、現時点でBSE感染の可能性がある牛肉の輸入を停止しても、今後日本国内においてクロイツフェルト・ヤコブ病患者が出ないとは限りません。
米国産牛肉の輸入が再開された場合、それを買うかどうかは消費者個人が判断することですが、前提条件として正確な情報の公開が重要となります。そのような点で、今回の農水相の言動は不適切だと思わずにはいられません。