【低学年造形クラス】
10月、11月と続けて聖フランシスのお話をしてきましたが、今回がその最後。
『貧しい人々や病気で苦しむ人々を世話し励ましながら生きるフランシス。その姿に魅せられた一人の女性、クレア。彼女は山の上の大きなお屋敷で、町で働く彼の姿をいつも見下ろしていました。ある時彼女は裕福なその家を出て、彼とその弟子達と一緒に働くことを決心します。月日は廻りある寒い冬、フランシスとクレアは病人の看病で帰りが遅くなり、途中、水とパンを求めて家々を回るのですが、人々にはなかなか理解されず、背後から二人の悪口すら聞こえてきます。雪に覆われた町、頬を突き刺すような冷たい風が吹き抜けます。クレアの目には涙があふれています。「バラの花が咲く次の夏までお互い離れていたほうがよいかもしれません。」フランシスがそう言ったかと思うと、雪に覆われた周りの生垣に、真っ赤なバラが咲き始めます…。』
一体どうしてこんな真冬に真っ赤なバラが咲いたのでしょうか? 誰がバラを咲かせたのでしょうか? この質問に子供達からこんな回答が帰ってきました。「分かってるで、それ、こころやろ?」「かみさま?」心の無意識の領域を開放しているこの時期の子供達にとって、このような神秘的要素はとても大切であると考えています。今まではギリシャ神話、ポリネシア神話などをもとに絵画制作をおこなってきましたが、今回のお話ではキリスト教が土台となっています。この造形クラスではこのように世界の様々なお話から、精神の温もりを水彩を通して体験することを大切にしています。思考で分析、区別化するのではなく、子供達が感覚と感情を使ってその普遍性を体験することを一つの目標としています。