2008年度の音楽クラスを振り返って

今年度最後の授業が終わりました。一年間の子どもたちの成長をふり返る前に、久々にこのクラスの目指すもの、についてまとめておきたいと思います。
 ひと言で言えば、子どもの年齢にふさわしい、子どもの成長を助ける音楽教育、ということです。音楽の力は子どもの、目には見えない部分にじわ〜っと働きかけます。
簡単に言えば「心の栄養」です。絵画や造形のように目には見えませんし、すぐに効果(?)が現れるものでもありません。とても精神的なものといえます。
 最も大切にしていることは「聴く力」を育てることです。聴く力・聴く姿勢を育てることは、全ての教育の前提です。現代のあふれる音・情報の洪水の中で、耳を澄ませて聴くことなど、よほど意識しないとできません。ひと口に「聴く」といっても、自然の声に耳を傾ける、人間の声〜時には声なき声〜に耳を傾ける、あるいはお互いに聴き合う、ひいては神さまの声に耳を傾けることができれば、その人の人生はどんなにか豊かな素晴らしいものになるでしょう。大切な子ども時代に、様々な耳を澄ます音楽遊びを通してこのような姿勢を身につけてもらえたら、と願っています。
 小学生クラスでは笛を使いますが、決して「笛の教室」ではなく、上記のような目標と、合わせて成長期の子どもたちの呼吸を整えるのにこれ以上ふさわしい楽器はないのでペンタトニックフルートを使っています。
 
 ★幼児クラス:始まりも終わりもないペンタトニックの歌を使っておはなしの世界へ。
手遊び・指遊びや、歩いたり飛んだり跳ねたり、体中を使って季節のお話を体験(ライゲン)。今年は人数が少なく、こじんまりとした小さな輪でしたが、年少さんから続けてきた年長の2人に、お話を聴く力が確実についていることがわかります。
 ★小学1・2年生クラス:1年生は1学期、1つ穴のインターヴァルフルートで息を整え、2学期からペンタトニックフルートへ。まだまだ指をぴたっとふさぐのは難しいのですが、だんだんいい音が出るようになってきました。
 2年生は今頃になると、ずい分笛が自分のものになってきました。1年間の成長はすごいものがあります。またクラスとしてもよくまとまってきて、今日もひとりの子に私が笛を指導している間、2年生が自発的に1年生とリズム遊びを始めて待っていてくれました。
 ★3年生以上クラス:3年生になると笛は自由自在。学校のソプラノリコーダーとの使い分けもこなします。スケッチブックとクレヨンを使って楽譜の導入をしました。太陽・月・惑星の通り道が5線譜になるという他にはないアプローチをしていきます。音楽の本質に触れてもらえたらと願います。
 4年生以上はペンタトニックフルートとリコーダーも使いました。今の調性音階になる前の、ギリシャ旋法(ドリア旋法)を体験してもらいました。また、楽譜を実際に「音楽を伝える手段」であることを体験してもらう為に、お互いに好きな歌を楽譜に書いて郵便で届けてもらいました。この年齢では、世界と自分との橋渡しをするのが課題です。
 このクラスでは簡単な即興も試みています。即興でメロディを吹くのはちょっと勇気の要ることです。これもこの1年で少しずつできるようになり、今日の笛の時間にはそれぞれ素敵なメロディが生まれてきました。

 1年間きららのお母さん・お父さん方には大変お世話になりました。これからも子どもたちの為に力を合わせていきましょう。どうぞよろしくお願いします。
 理美