《高学年クラス》
11月に行った『ナイル川と古代エジプト』のお話は、1月、2月と更に深まっていきました。古代エジプトと言えば、やはりピラミッドやファラオが思い浮かびます。これらはテレビなどでよく扱われているテ−マですが、このクラスでは取り上げませんでした。私が思うに、ピラミッドやファラオというテ−マには「巨大さ」「権力」というものがあると思います。もちろん、当時、それだけの文明が築かれたことは驚きですが、子供たちにはそれよりもっと大切なものに目を向けてもらいたいのです。当時の人々にとってファラオとピラミッドが全てであったわけではありません。もっと大切なものがあったはずです。それは、当時たくさん建てられていたであろう「神々のための神殿」に表れています。
ナイル川流域に住む人々は、毎年決まって起こる洪水、つまり自然のリズムに従いながら、壮大な大地の恵みを得てきました。彼らにとって自然の力、その自然の中でたくましく生きる野生動物の持つ力は、そのまま神々の力を表していました。ですから地域ごとに様々な神々を大切にしていたわけですが、そんな神殿の暗い奥の部屋には、様々な動物の頭を持った神々の像が大切に祭られていました。
授業では、子供たちに神殿の100分の1の模型(といっても結構大きいです)を見せて、その壮大さを感じ取ってもらいました。神殿はピラミッドほどではないにせよ、かなり巨大です。そしてその中に入り、神の像に近づくことが出来たのは、特別な神官かファラオだけであったと言われます。ファラオは神々と人々をつなぐ仲介者だったのです。「巨大」「ファラオの権力」。これらは精神的世界とのつながりの上で初めて意味をなすものだったのでしょう。
子供たちが制作した「雌ライオンの神様」は、荒ぶる自然の破壊の力を象徴し、伝染病などを引き起こしたと言われています。人々はその力をなだめようとしていたのでしょうか。もうひとつ、子供が制作したのが「雄羊の神様」。粘土をこねて万物を創造した、生命創造の神であり、この神様は、ある時期から女性のおなかにろくろを仕込んで人間の創造に任せたと言います。
細井信宏