この秋からは「生命の曲線美」をテ−マとした様々な制作を試みています。生命感あふれる躍動。その感覚は東洋美術にはよく表れていますが、不思議なことに西洋美術ではなかなかお目にはかかれません。西洋では早くから自然を客観的に、または「もの」として認識し描くことに意識を向けてきたことが一つの大きな理由だと考えられます。しかし、私たちの自然を描写した美術にはいつも生命感が漂っています。それは私たちの文化が自然との親近感を保持し続けてきたからだと私は思っています。自然と共鳴する意識のあり方は今日特に大切になって来ていますが、それは元をたどれば、数万年前の人類が描いた洞窟画にも表れています。動物を描く時は、今日では西洋の見方(測る方法)で描きすすめていくのが一般的ですが(デッサンの描き方に表れている)、そうではなく、生命のうねり、生き物たちの躍動に焦点を当てて、ここでは制作を試みています。