ロバート・ルイス・スティーヴンスン・・・・・
「宝島」や 「ジキルとハイド」の作者としか知らなかったが、
今回のように短編においても素晴らしい筆力を持っているということに驚いた。
読みはじめて たちまちフロリゼル王子とジェラルディン大佐の まるでいまどきの
アクション映画でも見ているかのような、息詰まる動きにすっかりはまりこんでしまった。
しかし、今回の講座では なぜ、文学を学ぶのか・・という原点をじっくりと見つめ直すことができた。
文学を学ぶ意義は 虚構の物語を通して自分の中にどんな問題があるのか見つめつくすこと、と先生はおっしゃる。
言うまでもないことではあるが、大人になって様々な本を読むうちにいつの間にか、
自分にとって都合のいい本ばかりを選んできてはいなかったか・・
また、文学を ”読む” には、それが培われた文化の土壌を知ることが大切。
これもまた、承知しているつもりだったが、今回のテキスト ”自殺クラブ” の中にも
キリスト教的な価値観が随所にちりばめられていたのに気がつかなかった。
大人になればなるほど読書にも 思い込み が生じていたなと、反省。
” 自殺クラブ” は100年前のけだるい世紀末を扱った作品であるが、
テーマの重さ、深さに加えて、講師の先生の巧みなリードにより
文学に接することの意味についてあらためて気づくことができた。
さすが 大人の学校、
なんとなく 大人の学校、
だけどやっぱり 大人の学校
学生時代にもどって少々シュンとした 翔
『自殺クラブ』 スティーブンスンが描き出した世紀末、ロンドンの世界。
時代の様相を倦怠感とニヒリズムが支配する中、
死を望む人々を誘い、殺される人間と殺す人間をゲームで決める。
おぞましい闇の組織に生きる人々と闇の力と闘う人々のストーリー。
『自殺クラブ』 それは邪悪さをてこにして、人々を邪悪の淵に追い込むクラブ。
人の尊厳を持った人々を人非人にすることがこのクラブの本質。
今、2008年。数字としての21世紀初頭には黎明は見えず、
ますます暗闇が広がっているように見える。
何故、若者たちは死を望むのか。
『自殺クラブ』 作者のスティーブンスンには家族との葛藤があった。
読む若者たちも又、心の中に家族との葛藤をかかえている。
死を望む若者たちの問題の切実さをないがしろにしない。
作者は自殺クラブ会長を人間の皮をかぶった悪魔として描いている。
作者に導かれ、物語世界を探索する。
読むこと、思索すること、語り合うことを通して育まれていくもの。
自分の中にあるニヒリズムの霧に気づき、そして、
闇をはらう光を求めている自分の心に気づくこと。
改めて・・・物語世界を深く、そして広い視野で探索する力を養うこと、
乳児から生涯を通しての、素敵な課題だ!と実感した講義でした。
『自殺クラブ』を読んだ方々へ:会長が何故、カードをリバースディレクション
(逆回り)で配ったか? ?を持ってくださいね。そして、
立野先生の次回講座を是非、お楽しみにご参加くださいませ。
アブラ