児童文学への招待 『雪女』 講座紹介②

ごくざっとですが、『雪女』を描いた諸作品を読み比べてみました。
立野 正裕先生の講座を通して、しっかり浮かび上がってきたことは
ラフカディオ・ハーン作の文学的な深さです。
皆様は、ラストシーン、雪女の消え去り行く姿にどんなイメージを
持っていますか?

私と我が家の『雪女』は松谷みよこ 文 赤羽末吉 絵 が描き出す世界でした。
情愛に満ちた母の姿と消え行く悲しさ、消え去られた悲しさを読み語りしてきた
ように思います。
ハーンを読んでショックを受けました。
世界に共有することの出来る、深い、そして、骨太の怖さが『雪女』にあることの
発見ともいえましょう。

お雪は、針仕事から目をはなさずに、「その方のお話をして下さいな。」
と言っているのです。また、
ラストは鋭い叫び声を夫の顔に浴びせかけており、叫んでいるうちに
声がしだいに細くなって行き、引窓から、振るうがごとく消え去って行ってしまった。
のです。

何故、しゃべったのか?という問題。
タブーをテーマにした数々の昔語りが世界中にあるということ。

告白ということを戦争責任にまで食い込んだ話し合いと、
立野先生の「平凡な人間には背負いきれない秘密がある」という言葉に、
物語を語り継ぐということの本質がみえた講座でした。

アブラ