朝日新聞教育面「あめはれくもり」(2)

6月29日
「子どもの声聴ける大人に」加藤志保(2)

 私たちが活動を手助けしているチャイルドラインは、18歳までの子どもが
かける、子どものための電話です。

 70年代に北欧から起こった世界的な活動です。日本では、98年に東京
都世田谷区で取り組みが始まりました。今では35都道府県の65グループ
に広がり、子どもからの電話を待っています。各地の電話番号は、ホーム
ページ(http://www.childline.or.jp)にあります。

 電話を受ける「受け手」は、フツーの人、特別な専門家ではありません。
その代わり、子どものこと、聴くこと、電話で話すことについて、研修を受け
ます。例えば、受け手になった人は、自分がそうした活動をしていると決し
て明かしません。電話で話す子どもたちを守るため、受け手が誰かも対外
的には非公開なのです。

 受け手を経験した大人たちは「じぶんの周りの人の話を聴けるように
なった」と口々に言います。チャイルドラインにかかわったことで子どもの
声に耳を傾けるようになれた大人たちが、すそ野広く増えていってほしい
と、私たちは願っています。

 今日あなたは、「はやくしなさい」「何やってるの」「だめでしょ」といった叱
(しか)るような言葉以外で子どもと会話をしましたか? まわりの子どもた
ちは「ねえねえ聴いて」というサインを出してはいませんか?(チャイルドラ
イン支援センター事務局長)