2011年12月に、ネパールで開かれた「CHI(Child Helpline International)第五回アジアパシフィック会議」。3日間の会議の様子をご報告します。
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CHIの第五回アジアパシフィック地域会議が2011年12月5〜7日、ネパールのカトマンドゥで開催された。20か国、63名が集まったが、ヘルプラインを支援するパートナー組織であるユニセフやセイブ・ザ・チルドレン、政府関係者などの参加もあった。会議を主催したのはアムステルダムにあるCHI本部とネパールのCWIN。児童労働、ストリート・チルドレン、児童売買などに関わる、子どもの権利擁護団体としてはパイオニア的な存在。1998年からこのセンターの中でヘルプラインの活動が始まり、現在では全国の児童保護システムの中に位置づけられ、地域社会、NGOと協働している。フリーダイヤル1098には年間600人の子どもが虐待の件で電話をかけてくるという。
会議の1日目は、各方面からのあいさつ、参加者の自己紹介、CHI事務局からの世界、地域の最新情報の報告。オープンスペースは、話したい課題をいくつか出し合って、関心のあるテーマの分科会に参加するもの。アドボカシー、子どもの参加、サポート体制、ファンドレイジング、CHIの会員になることの利点・・・・などがあがった。
2日目は「パートナーシップの強化」をテーマに、SAIEVAC(児童虐待を終わらせるための南アジア発起委員会—6か国の政府がかかわる画期的な委員会)、ユニセフ、セーブ、プラン・インターナショナルなどが、子どもの声と直接につながるヘルプラインとの連携の意味、現状について語った。また、パートナーシップについてアジアの各地域にわかれてのワークショップが行われ、東アジアグループには日本、中国、香港、モンゴル、さらに一人参加のニュージーランドも加わった。この日はCWINの活動現場への視察プログラムもあり、若者たちとの活動を展開しているセンターでこどもたちによる虐待をテーマにしたお芝居をみたり、歌をきいたり、また虐待に関する電話を受けている場所も見学した。真に迫った、ユーモアもある芝居には大きな拍手が沸き起こった。
3日目は、ケースマネージメントや措置のメカニズムについて、昨日同様地域にわかれてのワークショップ。この地域の参加者には虐待に特化したヘルプラインが多いので、原則として直接介入はしない日本のチャイルドラインとは状況がかなり異なる。もう一つのテーマは、緊急時・自然災害時におけるチャイルドヘルプラインについて。日本も、タイ、バングラディッシュ、パキスタンとともにパネリストの一人となることを要請された。
3.11の地震・津波そして原発の事故に対して、CHIに連なる多くの国からお見舞いのメールや電話をもらったことにお礼をまず述べて、全国共通番号のフリーダイヤルを施行していたおかげで、電話を受けられない被災県からの子どもたちの声を全国のどこかできくことができたこと、つながる企業なども多くの物的、人的な支援を提供してくれたこと、また、今後いつ起こっても不思議ではない地震のことを考えると、やはり原発が日本にあることがそもそものリスクであり、子どもの未来にとって最も脅威となることなので、停めるべきだと思うこと、などを話した。
ヒマラヤのすぐそばにいながら、まったく観光もできなかった3日間だったが、同じ目的、ミッションに向かって歩んでいる「アジアの家族たち」を実感することができた会議だった。
(報告者:星野)