「高校生の主張」で大臣賞 日系ブラジル人のルマさん (神戸新聞11月28日)
日系ブラジル人で、神戸市長田区の高校二年の女子生徒が、東京都内で開かれた「国際理解・国際協力のための高校生の主張コンクール」で、特賞の法務大臣賞に輝いた。日系三世の自分のルーツ、アイデンティティーを巡る葛藤(かっとう)、外国人の子どもが受けている差別などにふれ、「母語の保障やアイデンティティーを尊重する教育を。愛され、幸せになる子どもの権利を守って」と訴えた。
県立神戸甲北高校(同市北区)に通う、ルマ ユリ アキズキ マツバラさん(16)。ルマさんは生後すぐに両親とともに来日し、一九九五年春から神戸で暮らしている。「私は何人なの?」という戸惑いを表現したビデオ作品を制作し、今年初め、国際的なコンテスト「東京ビデオフェスティバル」の優秀作品賞に選ばれるなど活躍が目立つ。
今回のコンクールは、日本国際連合協会が主催。書類審査を通って県代表となり、今月二十四日の東京都内での中央大会に進んだ。二十六人が出場し、ルマさんは「地球に平和が訪れる日を目指して」をテーマに、約六分間スピーチした。
幼少期にブラジルに移り苦労した祖父母のこと、日本在住のブラジル人を支援するボランティアに取り組んでいることなどを話した。また、親の出稼ぎで来日したブラジル人の子どもが、日本語が話せないために、いじめや差別を受けたり、学校をやめてしまったりする現状も訴えた。
身近な問題を交えながら、「子どもは自分の意思と無関係に政治や戦争、大きな力に翻弄される。国連の『子どもの権利条約』が守られる社会に」と主張したルマさん。四人だけの特賞に選ばれ、来年の春休みに米国・ニューヨークの国連本部の視察に参加することも決まった。(中島摩子)