今回と次回は、『多文化(多文化共生センター東京)』のボランティアをして
いる風間晃さんと中野真紀子さんの対談を掲載します。
風間さんは主に子どもプロジェクトを中心に活動されています。中野さんは
子どもプロジェクト、親子日本語クラス、広報チームをかけもちしている
猛者です。(聞き手は杉田です。 中野さんは対談の後、フリースクールの
アシスタントもされるようになりました)
杉田「お二人が『多文化』に入ったきっかけは何ですか?」
風間さん「3年半前に西日暮里の事務所でボランティア講座に参加しました。
『多文化』を知ったきっかけはあまり覚えていませんが、新聞か何かで読んで、
たまたま当時僕が中国語の勉強と日本語の先生の勉強を始めていたので、
自分でも子どものために役に立てるかもしれないと思って、事務局にメールを
しました。その後、田中さんからメールが返ってきて、ボランティア講座の
お知らせをもらって、講座に参加しました。
事務所の住所は『なんとかビル』という名前だったのに、2階建ての一軒家
みたいな建物で、たどり着くまでに時間がかかりました(笑)。
その頃は午前中にボランティア講座をやっていたので、お昼ごはんにおいしい
お弁当屋さんを田中さんから教えてもらったことを覚えています。」
杉田「日本語の先生の資格とか持っているんですか?」
風間さん「なんとか講座に通って、日本語教育能力検定試験に合格しましたよ。」
中野さん「私が『多文化』に関わるきっかけになったのは、3年前に東京に
引っ越してきたことです。もともと、地元でも帰国者の方に日本語を教える
ボランティアをしていて、同じように活動できるところを探していたところ、
ホームページで見つけました。『多文化』の活動は2年前ぐらいからやって
います。」
杉田「地元でも中学生ぐらいの子どもに日本語を教えていたんですか?」
中野さん「地元では年上というか大人に教えていました。
年少者への日本語教育の現状を知ったきっかけは、大学で文化人類学を
専攻していた時にフィールドワークで中学校の日本語教室にいったことです。
それから子どもたちに日本語を教えることに興味を持っていて、東京で
子ども中心に日本語教育をやっている『多文化』に来ました。」
風間さん「中野さんが初めて担当した子どもはどうでした?
イメージと違っていましたか?」
中野さん「最初はいっぱいいっぱいで、とにかく担当した子の力になりたい
と思ってやっていました。子どもに対して接する前とイメージが違うことは
ありませんでしたが、イメージが違っていたというか、気づいたことが、
『私自身、漢字が苦手だ』ということです(苦笑)。
書き順とかを子どもに教える前に、まず自分が確認しないと全然ダメでした。」
杉田「お二人は毎週のように『多文化』に来てらっしゃいますが、ボランティア
をずっと続けるコツというのはあるんでしょうか?」
中野さん「自分が楽しむこと。そして、相手を知ろうとすることですね。
勉強を教えるために集まっていますが、ちゃんと相手と関わろうとすると、
やっぱりその子が好きになるし、『来週も来て、また教えたいな』と
思いますから。」
風間さん「基本的には中野さんと一緒です。あんまり子どもに勉強を
教えようとか、気負ったりすると続かないですね。
会社の仕事は忙しく、その分面白いけれども、会社の仕事と全く違う作業も
面白いという感じでやっています。子どもと会うのも楽しいし、ボランティアの
メンバーのことも気になります。もし『多文化』の活動をしないで、会社の
仕事をしているだけだと、『多文化』のメンバーのことも知らないで終わった
でしょう。会社では大学生としゃべったりする機会もないですし、そういう
『子どもという共通点しかない人』と一緒になるのが楽しいですね。」
中野さん「そうですね。同じ子どもに勉強を教えたとしても、その日によって
毎回やり取りは違うし、そういうコミュニケーションは楽しいですね。」
風間さん「そうそう。それに、1年が終わって子どもが高校に進学して、
また違う生徒が来るようになると、新しい関わりができるから、長く活動を
していても飽きないですね。」
中野さん「『多文化』だと、継続的に同じ子どもと関われるので、その子の
成長を見ていけるのが楽しいですよね。」
風間さん「僕はだいたい毎週来ていますけど、もっと忙しい人もいますからね。
深夜まで会社で残業して、次の日に『多文化』に来る人とか。
だから、続けるのがつらいとかは思ったことがないです。
中野さんは子どもプロジェクト、親子日本語クラス、広報チームをやっていて、
休みが無いけど大丈夫?」
中野さん「きついときは休むようにしています。結局、どの活動もそれぞれが
全部関わり合っているので、いろいろやっているという感覚は無いですね。
だから、時間を取られているとか、拘束されているとかも思っていないです。
最近、家を掃除する時間がないけど、親もパートナーも応援してくれていますし、
そういう周りの理解があるから続くんだと思います。」