先日、無事に都立高校に合格したMくんのお父さんがご挨拶にいらっしゃいました。
けれど、玄関先に立ったまま学校の中に入ろうとしません。
声もなんだかいつもより小さい様子…。
聞き出すと、Mくんと一緒に大久保まで来たものの、
「学校に来なくてもいいよ」と言われたのでいったん別れてこっそり来たとのこと。
たぶんかフリースクールに来る生徒たちの家庭のかたちは様々です。
ずっとおじいちゃんおばあちゃんに預けていた子どもと久しぶりに一緒に暮らすご両親、
日本で築いた新しい家庭に子どもを呼び寄せるお母さん、
女手ひとつで4人の子どもを育てているご家庭、
娘と2人暮らしでどこへでも一緒に行くお父さん。
外国で子育てをする難しさを感じているお父さんお母さんも大変ですが、
日本人のお父さんにしても、急に思春期の子どもができることにおおいに戸惑うようです。
そしてほとんどのお父さんが子どもの母語ができないので、最初は意思疎通もままなりません。
けれどもそんなお父さんたちからも彼らの力になろうという気持ちは伝わってきます。
10月に来日したKくんは、最初はひらがなも読めませんでした。
けれど学校だけでなく家でもきちんと勉強して、漢字の進度もいちばん。
それには家で宿題につきあってくれていたお父さんの力もあります。
何度も学校とお電話やお手紙でやりとりし、
「どこまでどのように手助けしたらいいのか」を相談しながら家庭学習を進めることができました。
結果、彼はわずか4ヶ月ほどの勉強で三部制の高校のⅠ部に合格。
お礼のお電話をくださったお父さんの声はとても弾んでいました。
お父さん、お母さん、講師の先生方、ボランティアや会員のみなさん、
たくさんの方々のあたたかい気持ちに包まれて今「春」を迎えられることを、
彼らが人生のどこかで気づいてくれたらいいなぁと思います。