「“漢字だいすき”(テキストの名前)どこかなぁ」
という私のひとり言を耳にしたフィリピン出身のJさん、
さっと手をあげて「“漢字だいきらい”ならここにいるよ!」
一瞬、探し物を忘れて爆笑してしまいました。

そんなJさんは中学2年の時に日本に来て地元の中学に編入。
去年クラスメイトと一緒に高校を受験しました。
しかし結果は、合格することができませんでした。
そして学校の措置で卒業せずに夜間中学に入りなおしたのですが、
学習言語や漢字が身についていないために中2からやり直すことに。
その決定の時には「早く高校生になりたいのに」と涙をこぼしていたJさん、
受験生ではありませんがたぶんかフリースクールでも勉強することになりました。
しかしこれまでの中学校生活で「わからないこと」に慣れてしまったために、
なかなか学習に積極的になれず、最初はわからないとすぐに投げ出していましたが、
最近は苦手な漢字も数学にも取り組もうという姿勢が見られるようになりました。

夜間中学では日本語学級ではなく普通学級にはいったため、社会や理科も勉強します。
日本語を勉強しはじめてまだ2年、漢字は苦手、母語で勉強したことのない内容、
夜間中学ではゆっくりわかりやすい授業とはいえ日本語で理解するのは大変です。
しかしフリースクールは3教科受験を目指す生徒がほとんどなので社会や理科の授業はありません。
そのため高校で歴史を教えていた先生が、あいている時間で社会を教えてくれています。
今日は日本史。先生が卑弥呼の話や古墳の話を丁寧におもしろく話してくれます。
勉強嫌いでおしゃべり大好きの彼女が一生懸命に話を聞き図説を見て、質問をしています。
来日したばかりの頃に日本語がわからずにただ座ってやり過ごしていた内容を、
今やっと「わかる」と感じているのでしょう。
その姿を見て、「わかる喜び」が成長につながることを改めて感じました。

たぶんかフリースクール新宿校