中平先生からAAF事務局をされている芹沢さんへあてて送られた文面。転載いたします。
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お世話になっています。長野県戸倉上山田中学校の中平千尋です。
ネットワーク会議では大変お世話になりました。多くの方達と出会い、今年もなんとかやって行けそうです。
さて、ネットワーク会議中、ずっとみんなに訴えたいことがあったのですが、どう言葉にしたら良いかわからなかったことがあります。最近やっと言葉にできましたので、芹沢さんにお伝えします。それは、現在の小中学校での図工や美術教育についてです。
現在中学校の美術の時間は、3年間で115時間しかありません。これを一日24時間に換算すると、五日に満たない短い時間です。これでどれだけ豊かな美術教育ができるというのでしょう。
私自身は、115時間でもできる十分豊かな美術教育の授業をしていくつもりですが、文部科学省の臨教審では、将来は中学校ごと音楽か美術を選択して履修させるとか、全く廃止し、国語数学英語に割り振るというような議論が行われています。20年後には美術がなくなっているかもしれません。
もし、そうなった場合、世の中に子ども達に美術や表現の楽しさを伝えていく手段は、地域のアート・フェスティバルしかないかもしれません。私が「とがびプロジェクト」などを実践し始めた理由は、まさにそういった危機感からです。
一年間365日の中で、一日くらいはアートの話題を家庭に持ち込みたい。夕飯の話題をアートの話題にしてみたい。「今日みた作品すごかったよ」「変な作品見て、意味わかんない」など何でもいいのです。「とがびあーと・プロジェクト」で、そういう話題を提供したいと考えていたのです。
アート・プロジェクトを開催される方々にお願いしたいと思います。できるだけ子ども達や保護者を巻き込んでください。できれば学校の先生方も巻き込んでください。そして作家の方々は、小さいギャラリーでマニアばかりを相手にしているのではなく、将来の鑑賞者になる子ども達にインパクトを与えてください。テレビゲームに負けない作品を発表してください。私は、「とがび」という世界のどこにもない美術館を子ども達と作ります。みなさん、よろしくお願い致します。芹沢さんには、今後ともご迷惑をおかけしますが、どうぞ相談などに乗ってください。
千曲市立戸倉上山田中学校
中平千尋