中平です。7月22日、長野駅横にある長野美術専門学校にお邪魔してきました。この専門学校は、長野県唯一の美術専門学校です。とがびにご協力いただいている寺島デザイン事務所の寺島克巳さんが、この学校の先生をされています。
今回は、オープンキャンパスで、デザイナーの方の講演会に行ってきました。講師は長野市内でデザイン事務所「エイブル」を経営されている滝澤氏です。お話の内容は、氏が手がけられたお酒のデザインに関する提案型の仕事の紹介が中心でした。
私が聞いていて心に残ったことは、「デザインはビジュアルから入るのではない。言葉から入るのだ」という言葉です。現在、小学校から高校までの教育課程を見ると、「デザイン」という言葉が使われているのは主に図工美術科です。図工美術科で教えているデザイン学習は、昔も今もビジュアル中心の発想なのです。
私は、以前からポスターやイラスト中心で行われているデザイン学習に疑問を感じていました。ポスターの授業というのは、デザイン学習の中心のように見られているし、ポスターなどが上手に書ける生徒はデザイン能力が高いと評価されますが、それは単に絵がうまいということであって、本当の意味のデザインを理解しているわけではないのです。ビジュアル中心のデザインからは真に人の心をつなげたり、発見したりするデザインは生まれてこないということなんだと思うのです。滝澤氏の言葉で何か自分の考えが少しまとまったような気がしました。
また、後援の後、校内を案内していただき、学生さんの作品展を見ました。私が驚いたことは、小林校長先生の基礎講座で、「観察する」「集める」「重ねる」「推理する」といったキーワードをもとに、授業をされていることです。そこから生まれてくる学生作品は、美術といえるかわからないものもありました。しかし、校長先生のいってみれば現場でのデザインワークにつながるであろう社会を観察する視点を、一年生の学生さんたちがみんな理解し、制作していることです。きっと講師の先生方にも理解され、つながっている学校なのでしょう。
今自分が行っている中学校美術教育は世の中でどう役立っているのか?そんなことを考えさせられた一日でした。