AAFプレゼンテーション原稿

AAFプレゼンテーション原稿

戸倉上山田中学校3年、とがび実行副委員長の小林●治です。

僕たちの企画「戸倉上山田びじゅつ中学校」(通称とがび)は中学校を丸ごと美術館に変えてしまおうと言うもので、今年で三回目になります。生徒は「キッズ学芸員」となって、県内外を問わず様々なジャンルの作家さんと交渉し、一緒に作品の制作と管理を行います。
今までは、これと言ったテーマは無く、各作家さんにお任せした作品を展示していたのですが、今年の「とがび」は「戸倉上山田」をテーマに作品作りを進めており、地域の良い所などが再発見できるのではないかと思っています。ここで、各作家さんの展示発表の一部を紹介したいと思います。
まずは僕の担当している東山魁夷さんの展示発表についてです。東山魁夷さんの作品は、毎回、長野県信濃美術館さんと交渉をして展示をしています。今回の「とがび」では「戸倉上山田」というテーマが定まっているので、今までのように単純に作品を展示するだけと言う訳には行きません。更に他の作家さんとは違い、「とがび」用に新しい作品を創り出すと言う事は無理なので、どんなプロジェクトにするか、とても悩みました。そして、中平先生や東山魁夷班の仲間と相談し、全部で三つのプロジェクトを考案しました。後日、それを企画書にまとめ、作品をお借りする交渉をしに信濃美術館に伺いました。まずは学芸員さんと企画書を見ながらどんな作品展示にするか等を話し合い、最終的には「KAII DE リゾートプロジェクト」で行こうということになりました。「KAII DE リゾートプロジェクト」とは、とがびで展示する東山さんの作品に似た風景をキッズ学芸員が戸倉上山田内から探してきて、作品をより良く鑑賞できる時間と場所を提案するというものです。当日は、「東山魁夷班」が戸倉上山田各地で撮影してきた「作品に似ている」写真を張り出し、実際にお客さんにもその場所に行ってもらおうと思っています。
東山さん以外の展示では門脇篤さんの「温泉祭りプロジェクト」これは上山田で行われる温泉祭りと花火大会の迫力を毛糸で表現すると言う物です。
塩川岳さんの「キャッスルプロジェクト」は戸倉上山田にある荒砥城を題材にしており、実際には存在しなかった天守閣を様々な素材で復元してしまう等、今から楽しみな展示がたくさんあります。
しかし、作家さんとの活動だけでは「とがび」は成功しません。裏方の係活動も大切です。チラシ係はデザイン事務所の方と話し合い、他の美術館にも引けをとらない立派なパンフレットを完成させました。「ニアイコール天明屋尚」上映係は制作会社の方と打ち合わせをして、会場の準備をしています。そして、去年も好評だった「ギャラリートーク」も行います。ギャラリートークは係のキッズ学芸員が、お客さんを引き連れ、校内を案内しながら作品の説明をすると言うものです。戸上中は少し複雑で、一年目の「とがび」でも、校内案内図を作ったのですが、キッズ学芸員の手作りだった為か、迷ってしまうお客さんが少なくありませんでした。そこで、二年目に前回の教訓を生かして「ギャラリートーク係」が誕生。校内案内図もデザイン事務所の方にお願いしました。「ギャラリートーク」は中々の好評で、お客さんが次のツアーの順番を待つほどでした。
今年の「とがび」は様々な面でパワーアップしていると思います。規模の大きさは勿論、作家さんやキッズ学芸員の意気込みにもその事が言えると思います。三年間築き上げてきた経験と、一年を通して行ってきた準備。その全てが10月で終わりを迎えようとしています。来年は僕達も卒業を迎え、中平先生の転任の可能性も無いとは言えず、今年で「とがび」は最後かもしれません。ですが、作家さんや中平先生、そしてキッズ学芸員達の努力と情熱によって創り上げられて来た「とがび」はずっと皆の中に残ると思います。三年間の集大成である「とがびアートプロジェクト2006」。終わるなら、有終の美を飾る為、是非多くのお客さんに来ていただきたいと思います。
来たる10月8日、長野県に新しい美術館がオープンします。